第6話 【一生このままで】

ーーグツぐつグツぐつ

 殺風景なこと部屋に、僕にとっての幸せが舞い込んできたかのように、今日の部屋は明るく感じた。

「ほんと、久しぶりだな。こうして…2人で過ごすの」

何故か、今日の優太は少し言葉を選ぶようにでも、落ち着いたいつもの声で話し出す。

「ご、ごめんな。全然時間とれなくて」

「大丈夫だよ、僕だって、大好きなバスケ大切にして欲しいし。別にそんなに、気使わなくても良いよ。まったく、相変わらず優しいね」

そんなこと言わなくて良いんだよ。僕は、この時間で十分過ぎるくらい幸せだよ。僕は、優太にとって、どう、映ってるの…?

 少しの沈黙がなれる。とっても居心地が悪い。いつもなら、優太となら沈黙なんて気にならないぐらい安らぐのに。心が少しザワついた。

「なっ、なぁ。一つさ…。聞いてもいい?答えにくかったら、答えなくても良いから」

何も言わないで、いつもみたいに笑わせてよ。優太にはそんなくらい表情、似合わないよ…。

「さっきまで、何してたの?何か…あった?」

「何もしてないよ。優太の来るちょっと前に起きただけだよ」

「じゃ、じゃあさ。どうして、泣いてたの? …ごめん、ちょっと目が赤かったから、ずっと気になってて…」

「……」

「いっつも、クールな理椿だからこそ心配で。もし話したくなったら言って、いつでも聞いてやるから。俺の唯一無二の親友なんだから」

「ありがとね。でも、ほんとに大丈夫だから。逆に優太こそ、何か悩んでたら相談してくれよな」

「なら、良いんだけどさ」

「さぁ!こんな話じゃなく、もっと楽しい話しよ。いつもみたいに」

「そう、、だな!」

そう、これでいいんだ…。そもそも、今日の朝のことは、夢での出来事だし。話したって、何か変わるわけでも無いし。でも、ほんとに、どんな夢だっけ…。どんどんうっすらしか浮かばなくなってきてる…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る