第3話 【鼓動と混乱】
「心の中…。僕の感情…?」
(喜)「そして、話しかけてたあの子は鈴(れい)。俺も詳しくは分からないけど、君の無の感情から生まれたんだって。まぁ、いつかまた喋ってくれたら良いんだけど…」
(悲)「はっ、はじめまして。私は、理椿君の悲しい感情から生まれた、雫葉(しずは)です。よ、よろしく、、ね」
(愛)「やぁ!僕は君の愛情から生まれたんだ!薆妬(あいと)って言います!よろしくね」
(怒)「あたしは、怒りの感情から生まれた、知恕(ちひろ)。これから、よろしくな!」
(楽)「やっほ!理椿君の楽しいという感情から生まれました~!哥奈(かな)です!これからよろしくね!」
「あっ、あの、すみません。さっきから何なんですか、勝手に話進めて。僕の心の中って何ですか?ましてや、僕の感情から生まれたって、本当に何者なんですか?」
頭が痛い…。ちがう、そんな事言いたいわけじゃないだろ。困らせたいわけじゃないんだ…。
(喜)「あっ、えっと、本当にごめんね。きっと、いっせいにみんなが喋り出すから困っちゃうよね…。でも、今言ったことは本当のことなんだ。今の君は、ずっと寝た状態で、本来夢を見るはずが、俺らの居るこの心の中に来てしまったようなんだ。だから誰一人、嘘はついてないんだ」
(悲)「ご、、ごめんね。やっぱり、分からないよね、、、」
どういう事なんだ、僕の心の中??? 分からない、彼らは本当に誰なんだ…。僕はどうすれば…。
霧に包まれたこの景色が、本当に今の僕を表しているかのようにどんどん濃くなっていく。それが、さらに自分の心の中であると言うかのようで、僕は落ち着くことが出来なかった。僕はただ、あたりまえに生きることさえ出来れば良かった。僕の幸せの、あの場所に戻りたい。早く優太に会いたい。会って、嘘だと思いたい。早く、早く、目を覚ましてくれ。僕の心なんかに居たくない!
(怒)「ちょっと、落ち着け!理椿!さっきから、心臓の動きが速い。あたしたちは、何もしない。理椿自身でもあるんだ。誰1人、お前を傷つけるつもりは無い。お前のこともよく理解してる。だから、大丈夫だから。」
あぁ、そうだよな。僕の中で生きてるんだよな…。知恕のおかげで、少しは冷静さを取り戻せたかもしれない。ほんとに、僕は何やってんだ。困らせたくなかったのに。
「あぁ、ごめん。そうだよな…。君たちは、僕から生まれたんだよな。僕の1番の理解者なんだよな…」
理解者か…。あぁ、そんな者1人も必要なかったのに。
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