第2話 地上最強の冒険者……敗北する。

目が覚めるとレイは自分のベッドにいた。


ステータス開示


そう念じると自身の前にゲームのようなステータスウインドが現れた。


そして、昨日の女神様が本物だったことが証明された。


名称 レイ・アモンド 21歳

種族 ヒト

称号 地上最強 努力家 屠る者

スキル 成長 強制ステータス開示 歩行 呼吸

魔法 初級魔法 中級魔法 上級魔法 超級魔法 殲滅級魔法

探知 レイン・アーガス 男 王都

テノーラ・チェルシー 女 王都

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ステータスウインドに探知という項目が追加されていて、9人の名前と現在住んでいる街の名前が載っていた。


「王都に2人か……。」


今レイはグラシア国のナーラという町に住んでいて、王都はこの町から1番近い距離にある。と言ってもすぐに行ける距離ではない。普通に歩いた場合は何日もかかってしまう。


「よし、馬を借りて行くか。」


レイは地上最強と呼ばれるほどの冒険者だが、あまり物欲はなく自分の馬などは持っておらず、普段の冒険者としての依頼なども自分の足で現場へ向かっていた。そのため、今回は馬を借りることにした。

馬ならば、早くても3日で辿り着ける距離だからだ。


そうして、レイはベッドから出て洗面所へ向かい、鏡と鉢合わせる。


鏡を見るといつも思う。


あまり自分の目が好きじゃないなぁ……、と。


レイの目は左目が金色で右目は緑のオッドアイだった。これには理由があり、左目には大精霊の目の力が宿っているせいだった。


精霊の力はそれだけ人の人体に影響を及ぼすのだが、そもそも精霊の力を持つものがひと握りだった。


このオッドアイが嫌で、レイは普段から顔を隠れる道化の面を付けていた。


あまりにも酷い顔だからとか言う理由ではない、客観的に採点されれば5点中4点くらいなはずだ、だが世間からは謎の冒険者として知られているのだから、変に期待されていそうと言うのは少し最近感じてきている。


そして、レイは寝癖が付いた黒髪を弄りながら、これからのことに悩んでいた。


その悩みは、今回の弟子探しを謎の冒険者としてやるか、レイ・アモンドとして探すかだ。


謎の冒険者として動くとなると、騒がれそうな気もする……。


「よし、このまま探しに行こう、この目は嫌だけどなぁ。」


そしてレイは、渋々ながらもレイ・アモンドとして9人の弟子を探すことにした。


そしてシャワーを浴び、旅の準備に取り掛かる。


数日分の食料と、お金、最低限の短剣と長剣、そしてこの世界におけるダンジョンというモンスターが蔓延る洞窟に稀にあるアーティファクト、このアーティファクトには特殊な能力が付与されていて、その能力は自動回復。


アーティファクトにはレア度が別れていて、下から銅級、銀級、金級、白金級に区分されている。


その中でもこれは白金級だ、自動回復の性能は片腕ならものの数分で再生できるほどのものだ。そして、これはレイが1番初めのSランクダンジョンで死にかけた時に入手したものだ。


形としては首飾りのような形状をしていて、宝石が鏤められている。


そして、それを首にかけ、まとめた荷物を背負い外へ出る。


「……あつ。」


あまりの熱気に声が漏れる。


「レイくん!どこいくの?」


白のワンピースを着た少女が走り寄ってくる。


「ルナ、今からお前の所へ行こうと思ってたんだ。」


この少女ルナ・エドワーズは幼馴染であり、実はレイの正体には気づいていない。というより天然だし気づかないだろう。


まぁ天然もいいところだよな、顔もおっとりしててお姉さんぽさがあるのに子供っぽい性格、ブロンドロングヘアーの碧色の瞳……。


「えー、なになに?まさか……。」


でも、なんでこの少女は、頬を赤らめているのだろうか……まぁ暑いんだろうな。


「実は2年くらい旅に出ることになった。」


「え?2年?旅!?」


これはなんて言えばいいのだろうか、急に予定が入ったとかそういうのとはレベルが違うよな……。


というか泣きそうなんですが。


「いや!2年と言ってもたまに帰ってくることもあると思うから!多分!」


「ほんとに……?」


「絶対だ!約束する!」


流石にルナの涙には勝てなかった、それが地上最強の冒険者だとしても……。



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地上最強の冒険者が九人の弟子を取るそうです 霧雨 紫 @zeri-swer

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