突然ですが『悪の組織』を作ります~怪人少女(?)は異世界で『悪の組織』を作ります

クロノデウス

第1話

『勇者』と『魔王』という『スキル』が両立する世界

両者は、互いににらみ合い

片方が攻めれば片方が守る逆に片方が守れば片方が攻め『勇者』の『スキル』を持つ者が倒されれば新たな『勇者』が選出され逆に『魔王』の『スキル』を持つ者が倒されれば新たな『魔王』が選出されるを繰り返し混沌が世界を飲み込んでいた。

一方、日本では、事故により39人の人間の尊い命が失われた。

だが、この事故の当事者達はこの事を知ることはなかった。

そして、39人の魂は、世界を渡り、『勇者』と『魔王』が存在する世界に送られた

これは一人の少女(?)が世界に名を轟かす最強の『悪の組織』を作り上げる物語である。


____________________________


 んっ! 

体を伸ばしたら声は出るけど目が開かない。

どういうこともしかして失明した!

いや待て目が徐々に開いてきたぞぉ!

あれここ何処?


目の前には湖が広がっていて木々に囲まれていた。


確か最後の記憶は…

仕事に向かう為に駅に行って電車に乗って会社から一番近い駅で降りて会社に向かって歩いていてトラック? に引かれた?

あれもしかしてこれ今話題のアレ?

まさかなぁ! 寝落ちでもしたんだろ… えぇ!


自分の手を見て驚く。


何この手このゴツゴツした感じの手どこかで見覚えが… 


まさかなぁ! ハハハ


湖で自身の顔を見て完全に察した。


あぁ! こりゃ『蒼月』だ。

しかもスーツとかじゃあなく本物の『蒼月』になちゃった!


改めて自分の姿を確認した。

首はちゃんと動く。

指も手首も腕も動く。

脚も動く。

声は出るけど、でも今まで聞いたことのない言語だ。


ここは、異世界で合っているんだよね!?


『はい! ここはあなた方が俗に言う異世界です。』


誰!?


振り返ればそこには絶対ここには似つかわしくないスマホが浮いてる。

しかも聞こえてきたのは女性の綺麗な声。

だが何故だろう私は一度聞いたことがあるような感覚におそわれる。


『初めまして鷹木 瑛太さん。私はαと申します。』


御丁寧にどうも!


『まぁまぁ! そう警戒しないでください。まぁ無理もありませんねぇ! 目が覚めたらいきなり別の世界にいたんじゃぁそういう反応になりますよねぇ』


まぁあながち間違っていないけど!

!?

ちょっと待て! 

今私が警戒して後ろに下がっているのバレているの?


『えぇ。こう見えて神ですからこれくらいは朝飯前です。』


なるほどねぇ! 合点がいく。


私の名前を知っているところで気づけば良かった。


『さて、本題に入りましょう。まず、あなたは、死にました。』


うん! でしょうね。


『ですが、あなただけが死んだ訳ではございません。』


それはどういう意味だ!?


『あなたを含めて39人の人間が死にました。』


おいおい、そんなに人を殺して良いのかよ、神様が。


『本来であればいけない事ですが、今回は特殊な事情が起きた為に仕方なく天寿をまっとうしていただいたという訳です。』


どういうことだ!?


『本来生と死はバランスが大事なのですが、一方に傾けばそのバランスは崩壊してしまう、その為に今回あなた達39人には死んでいただきバランスを戻しそのお詫びとして異世界に転生させたという理由でございます』


つまり均衡を保つ為の生け贄に選ばれてそのお詫びに異世界に転生させたって事かぁ。


『その解釈で間違えございません。』


ハハハ! ねぇはー!

まぁ! 過ぎたことは仕方ない前を向いて歩み始めるだけだ!


『まず、この世界についてザックリと説明します。

この世界には『スキル』という異能がございましてこちらは取得しようと思えば簡単に手に入れることができますので力をつけるのにはうってつけです。そして、この世界には『魔粒子マナ』と呼ばれる粒子が存在しており魔法を使う上で必須となりますのであしからず。この度私から『スキル』 『鑑定』とあと6つほどをプレゼントいたします。この度は誠に申し訳ありませんでした』


スマホは消えていった。

これが、私と神の最初で最後の出会いだった。


さて! これからどうするかぁ!


とりあえず使ってみよう! 『鑑定』と言ってみるか。


【保有『スキル』 『鑑定』 『武器召喚』 『血の盟約』『アイテムボックス』 『人型化』 『下級怪人召喚』 『gr/+』】


ん? 何この『スキル』


さらに『鑑定』。


【『gr/+』 あ*/×)*!?-;『スキル』

能力 食らったものの能力を得ることができるその対象に『スキル』も含まれる】


うわ-! 明らかにチートだ!

こんなの持ってて良いのマジで!?

そういえば段々声聞き取れるようになったなぁ!


「あっあマイクテスト123うんよし! これで話せるようになった」

「気になったけど、この、『人型化』って何?」

「とりあえず『鑑定』」


【『人型化』 異形の姿から人の姿になることができる『スキル』】


「えっ! 人間の姿になれるの! 使います『人型化』」


【エラー 『人型化』を仕様するには人間の肉を喰らう必要があります】


「ハァ-! 元人間だから人の肉を食うのは抵抗があるんだけどうーん! 仕方ない『人型化』は一旦後回しにしよう今はとりあえずここから離れてどっか適当にしてよう。そうだ一人称も変えよと今まで抑えていたから」


湖をあとにして森を歩み始めた。

すると目の前には異質な光景が広がっていた。

一人の首輪を付けた少女が四人の男達に襲われていた。

茂みから様子を伺っていた。


「手こずらせやがって、ようやく観念したか」

「兄貴、やってもいいか?」

「駄目だ。こいつは商品なんだぞ傷つける訳にはいかないがほんの少しぐらいなら良いだろう」


何故だがわからないが物凄く男達に対して苛ついてきたから成敗…いや悪に悪を執行する。

僕の心がそう言っている気がした。

だから僕はそれに従って動き出す。


ズシャ。ズシャ。 


明らかに人の足音とは思えない足音を出して歩き出す。

幸いな事に男達は少女に夢中で僕の存在に一切気づいていない。


ズシャ。ズシャ。ガラ。ガラ。


僕は『召喚』した大剣を片手に持ち、着々と男達に近付いて行く。

そして、


「グヘヘ。悪いようにはしないから一緒に楽しもうぜ」

「よぉ! 何が楽しいんだ? 僕にも教えてくれないかぁ?」


僕の声を聞いて男達は大きく後ろに下がり武器を構える。


「誰だ!? 何処から来やがった!?」

「何処からってそこの茂みからだよ」


僕は出てきた茂みを指差す


「そうかよぉ! 一つ警告しておくぞ、俺達の邪魔すると只じゃ済まないぞ」

「おぉ! それは怖い怖い。なんてな! かかってきなよ」


僕は男達を挑発する。


「舐めやがって、これでもくらえ」

「おい、待て…」


リーダーと思われる男の静止を振り切って一人の男が剣を振る。

リーダーと思われる男の静止を振り切って一人の男が剣を振る。

僕は剣ごと男を斜めに切り裂く。

すると、血がドバドバと噴き出して地面に生えた草を赤く染める。


「このヤロー!」


今度は二人の男が襲いかかる。

その中にはリーダーと思われる男も混じっていた。

僕は大剣を左手側に刺して二人の男の剣を素手で受け止め握りつぶした。

そして、左手側に刺していた大剣を抜いてリーダーと思われる男の方じゃない男を縦に真っ二つに切り裂き、リーダーと思われる男の頭を掴み握りつぶした。

そして最後に残った男に歩み寄る。

男は恐怖で剣が震えてカサカサという音を出していた。

僕は裏拳で男を殴った。


「ウゥ」


男はその場に倒れこんだ。


「お前達のようなクズが『悪』だって言うなら、本当の『悪』を教えてやる」


僕の口からは侮蔑の言葉しか出なかった。

そして、僕は、少女に歩み寄る。

少女は警戒した様子で僕を見る。

まぁそりゃそうするよね。

いきなり現れて目の前で男達を蹂躙するさまを見ればそういう反応になりますよね。

僕は少女に付いていた首輪を強引に引っ剥がした。


硬った! 何でできてるんだよ!


とりあえず『鑑定』。


【『魔銅鉱』 この世界で三番目に硬い鉱石】


うわー! ヤッバ僕のパワー!


僕は自身のパワーに驚くもすぐに立ち上がりリーダーとおぼしき男の腕を切って貪り喰った。

すると徐々に変化していった。

最終的に前腕から指の部分までを怪人状態のまま人型になった。


「あなたは、いったい…」

「僕? うーん! そうだなぁ! 僕は只の通りすがりの怪人だよ」


僕の答えにポカンとする少女。


「君は、もう、自由だよ」


僕はそう言ってその場を去ろうとすると少女が前に立ち塞がる。


「お待ちください!」

「何? 君死にたいの!?」

「いえ、そういうわけではありません」

「じゃあ何?」

「私をあなた様の配下にしてはくれませんか!?」


少女は僕の前に膝をついて懇願する。


「いいの、人間じゃない僕の下についても?」

「はい! 一向に構いません!」

「フッハハハ…」


僕は笑った。


「良いよ。ただし、裏切ったら只じゃ置かないから」

「はい。あなた様に永生の中世を誓います。そして伏してお願いいたします。私にあなた様のお力をお与えください」

「いいの、それが例え人ならざる者になるとしても?」

「構いません!」


少女は強く強く答えた。


「わかった。『盟約』だ」


僕は親指を噛んで血を出す。


「この血を飲めば君は人じゃあなくなる。それでも、良いなら僕の血を飲みな」

「はい!」


少女は僕の親指をしゃぶって血を飲んだ。

すると徐々に少女の髪の色が、黒のロングヘアーから白くなっていった。


「ところで、君の名前は?」

「私はフェルメアと申します。あなた様何とお呼びすればよろしいでしょうか?」

「僕! そうだな…アスルナで良いよ」


ここに今一人の怪人少女の物語が始まった。



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