第42話
弘志君はあたしが出ていくまで待っているだろうから、ひきこもることもできない。
誰か助けて……!
スマホを操作して、助けを呼ぼうとする。
しかし……。
あたしはスマホを見つめたまま動きを止めていた。
あたしの友達って誰……?
あたしはずっとマリナと一緒にいた。
友達らしい友達はマリナ1人しかいない。
そのマリナはもう友達ではなくなっているのだ。
貴也もダメ。
そうだ、安藤さんはどうだろう!?
閃いて、クラスのグループメッセージを開いた。
その瞬間、目の前が真っ暗になった。
書かれている文字に呼吸ができなくなっていくのを感じる。
《美弥って大人しそうに見えて、人の男寝取っちゃうんだね》
《ほんと意外だよねぇ》
《マリナと仲良くしてたのって、男を紹介してもらえるからだったりして?》
《それありえる! 神社でやっちゃうくらいだもんねぇ 笑》
《どれだけ飢えてんだよ》
《今度俺たちも相手にしてもらおうぜぇ》
画面に流れるすべての文字があたしへの誹謗中傷だったのだ。
時々、あたしと弘志君が2人でいるときの写真までアップされている。
これはマリナが撮影したもので間違いなさそうだ。
このグループメッセージはあたしも見ていると、みんなわかっているのに……!
書きこみの中に安藤さんのアイコンを見つけた瞬間、あたしはすべてが終わったと感じた。
あたしには相談できる相手なんていないのだ。
友達なんて、誰1人として……。
ショックで座り込んでいると、ドアをノックする音が聞こえてきた。
ハッと息を飲んで振り返る。
同時にドアが開き弘志君が顔を見せた。
その顔はニヤリと笑っている。
「なにノンビリしてんだよてめぇ」
怒りを込めた声で言い、近づいてくる。
「ご、ごめんなさい!」
咄嗟に謝っていた。
恐怖で声が喉に張り付き、擦れている。
「俺の電話には2コール以内に出ろ。いいな」
弘志君は低い声でそう言ったのだった……。
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