第39話

それでも、計画は着実に進んでいる。



学校外では貴也があたしのことを慰めてくれる。



それは悪い気はしなかった。



クラスメートたちはあたしの美貌を妬んでいるだけに過ぎないのだし。



1度だけ、弘志に呼び出されたことがある。



美弥をうまく転がしていることへの記念に取った、貴也との2ショットが原因だった。



学校内だったから手をあげられることはなかったが、死ねだとクソだと、言いたい放題だ。



あたしは涙を流して謝った。



本気で悲しかったからじゃない。



このままじゃいつか殺されてしまうと思ったからだった。



あたしの涙を見て、美弥は都合よく勘違いされたみたいだ。



マリナは泣いて謝罪するほど弘志のことが好きなのだと、



弘志はそんなにいい男なのかと。



言葉にしなくても、雰囲気でわかる。



それがキッカケになったのか、美弥はついに行動に移した。



放課後に自分から弘志を誘ったのだ。



あの美弥が自分からそんな風に動くなんて、信じられないことだった。



もちろん、あたしと貴也は美弥の後をつけた。



始めての美弥が必死に弘志にすがりつき、行為をしている。



これで、あたしの目的は果たされた……。



弘志は美弥の体を知ってしまった。



始めての、未熟な美弥の体を。



あたしは2人の写真を撮影し、クラスメート1人1人に送りつけた。



美弥に弘志を取られたの。



あたしどうしたらいい?



と、悲しんでいる文字を添えて。



決してクラスのグループメッセージを使ったりはしない。



そんなことをしたら、あたしが悪者になってしまうかもしれないからだ。



そして翌日。



単純なクラスメートたちはすぐに動いてくれた。



美弥の机への落書き。



嫌がらせ。



そしてあたしの周りには今まで美弥と一緒にいた安藤さんたちが近付いてきた。



「マリナちゃん大丈夫?」



状況が変わるだけで付き合う相手までコロコロ変える安藤さんは、本当に心配そうな表情を浮かべている。



これが、彼女の世渡りのやり方なのだろう。



別にとがめる気はなかった。



「うん。ありがとう」



あたしはニッコリ笑って返事をする。



これで、弘志もイジメのターゲットも、すべてを美弥に押し付けることに成功したんだ。

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