第20話

☆☆☆


あたしは大きく息を吐き出しながらベッドにダイブした。



まさかあたしと貴也がデートするなんて思ってもいなかった。



最近楽しそうだからという理由で声をかけてきたけれど、本当だろうか?



たったそれだけでデートなんてするのかな?



現実の男の子の気持ちはよくわからなくて、あたしは何度も寝返りを打って考えた。



貴也はあたしと一緒にいる間、終始楽しそうにしていた。



そんなに大した会話もしていないのに……。



「貴也はあたしのことが好きなのかな?」



呟いてみると、顔から火が出るほど恥ずかしくなって、枕に顔をうずめた。



まだ告白されたわけでもないのに、ちょっと自意識過剰になっているのかもしれない。



最近マリナに自慢ばかりしていたから、きっとそのせいだ。



自分にそう言い聞かせ、冷静になる。



でももし、このまま貴也と付き合うなんてことになったらどうなるんだろう?



あたしはマリナに嘘をついているのだ。



まずは存在していない藍との関係が終わったと説明しなくちゃいけなくなる。



そう考えて眉間にシワを寄せた。



ちょっとめんどくさいことになってしまったかもしれない。



でも、もし貴也と付き合うことになったら断る理由なんてなにもない。



今でも好きだと気がつくことができたのだし、なにより貴也はゲームのキャラクターとは違う。



ちゃんと実在していて、しかも同じクラスなのだ。



マリナだけじゃなく、クラスのみんなから羨ましがられることだろう。



そう思うと、少し面倒なくらいどうってことなくなっていた。



「よし、貴也とデートのために、もう少し予習をしておこうかな」



あたしはそう呟いて、恋愛ゲームを起動させたのだった。

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