フレアお婆さん 4

 宿に連れて来てから、あらゆる環境を整え、何度も繰り返すことで、話すことができると思ったのも束の間。


「ここをこれから家と思って...」


「えっ! ここに泊めてくれるんですか? 私、お金を持っていないので、好意は嬉しいんですが。」


「え、いや...」


「ぷっ、失礼。 では借宿としてはどうでしょう? ここはもう誰も住んでいないのですが、フレアさ...お婆さんの手伝いをして、その代わりに住むことですね。」


「あっ、それなら大丈夫そうです。 ありがとうございます、お兄さん。」


「私は魔法使いのアズと言います。 今後ともフレアお婆さんをよろしくお願いします。」


「はい! 私、レティって言います。」


 フレアが驚いている間に、話は進み、結局少女は借宿として住むことに決まり、対価としてフレアの手伝いとして固まってしまった。


 少女は家にあるものを取りに行くらしく、宿を離れて行った頃に、やっと戻ってきたフレアである。


「フレア様。 勝手に話を進めて借宿として住むことになりました。 良かったですね、ここで孫娘であると告げてたら本日までのことが水の泡になるところでしたよ。」


「ああ、感謝する。 だが、いつ話せば良いだろうか。」


「まだ時間は多くありますから。 いずれ伝える日も来ましょう。 私も暇なとき偶にはこちらに来ますので。」

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