衛兵カリムとオリバー

 レティと会った夜、実家の裏手を開けて叔父であるオリバーの部屋へと向かった。


 だが部屋の入り口には酒瓶が転がっていた。


「なんだこれ!? 酒臭すぎでしょ、どんだけ飲んだんだよ...」


「んんん~? なんだカリムか。 今日は二日酔いで動けねんだ、悪いが聞けることはないぞ?」


「叔父さん、レティのことなんだけど。 どう言うこと?」


「ん? レティがどうかしたのか。」


「今日、街の門で出会ったよ。 街を出ていくってさ。」


「はぁ!?」


 オリバーは自身が二日酔いなのも忘れて、カリムの胸倉を掴んで詰め寄った。


「あの子がなんで!? 確かにトラブルは起きたが、あれはレティが起こしたもんじゃ...ないぞ!」


「じゃあ、あれはなんだってんだよ! 大荷物を背負って門に並んでたんだぞ? しかも話を聞けば、ここで働くことで迷惑が掛かるからって言ってたんだぞ!」


「終わりだ...店も...儂も...何もかも終わりじゃ...」


「えっ...」


 オリバーは頭を抱えて蹲りながら、ぶつぶつと呟き始めた。


 カリムもどうして良いのか分からなくなって、オリバーと共に頭を抱えることになった。


◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇


それから数日が経ったある日、フレアお婆さんがタイミング悪く、借宿に帰ってくるのだった。

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