少女と衛兵

 レティは目を覚ますと荷物をまとめてから、余っていた布に残っていた炭でお婆さんに向けたメッセージを書いた。


 メッセージには感謝と謝罪とお礼について綴り、昨日買った茶葉の包みをメッセージに乗せて、フレアお婆さんの部屋に置いた。


 残り少なくなった路銀を持って、荷物を抱えて街の門へと向かった。


"あれって、レティちゃんじゃないか?"


"本当だ。 でも何であんな荷物を背負って門に向かってんだ?"


"あっ、商品の仕入れかもしれないし、そっとしとこう。"


"そうだよな、一応商店の爺さんに伝えようぜ。"


"だな。"


 そんな会話が漏れ聞こえるなか、レティは足早に門へと向かう。


 衛兵がレティに気付いて、声をかけてきた。


「レティじゃないか。 叔父さんは元気かい?」


「ええ、元気にしてますよ。 今日はこの街を出ようかと思いまして...」


「えっ!? なんでなの? 何か叔父がやらかしたのか?」


「いえ。 その...トラブルを私が起こしてしまって、店を当分開けなくなってしまったんです。 それで起こしてしまった相手が悪かったんです。」


「えっ、それはどう言う事だい。 まさか...兵士とか? ははは、まさか...ね?」


「...その通りです。」


「それは不味いね。 じゃあ手続きは俺がやっておくから、早く行きなさい。」


「っありがとうございます。」


「ああっ。」


 レティは衛兵にお礼を言って、門を跨いで街道から少し離れて歩き始めた。


◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇


 一方、レティと話し終えた衛兵は手続きをし終えて、衛兵の交代後、叔父であるオルバーの元へ向かっていた。


「レティちゃんが思い詰めるほどの何があったのか聞き出さないとっ!」

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