少女と請求


 レティは成人を迎え、商店を任されるほどまで成長していた。


 フレアお婆さんとも暮らしていたが、教えてはくれないが仕事が忙しいため、帰ってくることが減り続け、会える日もだんだん少なくなっていった。


 知り合った人から仕入れるだけでなく、自分から鍛冶屋に頼んで陶器を作ることに精一杯力を出して作り続けた。


 特に野心のようなものは持ち合わせていなかったため、商人顔負けな値段で販売を続けた。


 レティが作る陶器は器の#縁__ふち__#が白く美しい事で、あっという間に街に知れ渡った。


 そんなある時、鎧を纏った兵士が店を訪ねてきた。


「兵士様、こんにちは。 どういったご用件でしょうか?」


「こんにちは。 店主、陶器を売っているというのはあなたか?」


「いえ。 私ではなく、こちらの...レティが取り扱っております。 知り合いの鍛冶屋に頼んで作っているのですが、それが?」


「この少女がか? #俄__にわか__#には信じられないが、私も仕事なのでな。 こちらの店で陶器を取り扱っている者に請求書が届いている。 この請求書はかなり前に発行されたが、内容を知っているか?」


「いえ、私たちは知りません。 というのも我々下々のものは請求書を目にしたことはありません。」


「私も...」


「そうか...。 だが発行されたのは間違いない。 よって店主の言う通りならその少女が陶器を扱っているのだろう。 この請求書によると、書かれた金額を本日までに支払わなければ罪に問われると言うものだ。」


「えっ...。 はは拝見させていただけますでしょうか?」


「あぁ...」


「...っ!?」


 この時、レティは目が飛び出るほどに見開いた店主を見て、金額が高いのだろうと予測した。


 店主は震える手足を落ち着かせようと察するが、怯えからくる震えは一向に止まない。


 店主が震え続ける手から取り落とした請求書を、店主が拾おうと手を出したが、レティが拾ってしまった。

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