少女と商い


 朝日が上る時間を知らせる鐘の音が響く中、少女レティは目を覚ました。


 借宿の1階に下りていくと、ちょうど近所に住むお婆さんが朝食を準備していた。


 お婆さんはフレアといい、身寄りのないレティをこの宿に住まわせてくれたうちの1人だった。


 近所のお爺さんお婆さんは身寄りがない、というだけで関わって来ないため、レティにとってありがたいことだった。


 住む場所を与えてくれたことに感謝していたが、何もしていないと感じたレティは12歳という異例ではだったが商業ギルドに登録することができた。


 レティは借宿に住む代わりに、フレアお婆さんの他にも、会えたローブを被った年の若いアズという魔法使いなどから商品を仕入れ、商人から借りた商店の端で商売をすることを始めた。


 初めこそ交渉に失敗を繰り返していたが、見かねた店主の手解きによって成長していった。


 街の人も温かい目で見守りながら、暮らしていた。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 それから早3年が経ったある日、訪ねてきた鎧を身に纏った兵士から書状が持ち込まれたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る