涼宮ハルヒの脱法

にちか

涼宮ハルヒの強奪

涼宮ハルヒの強奪

ハルヒ「キョン!3億円盗むわよ!」

ハルヒはいきなり物騒な事を言い出した。

どうやってだよ。

ハルヒ「白バイ隊員に化けて盗むの!」

長門「………………」

古泉「それは、ちょっと難しいですね」

朝比奈さんがおずおずと手を上げる。

朝比奈「あのう……..あたしがやりますですっ。きっと上手くいきますぅ」

長門「…………」

ハルヒ「有希も参加ね!SOS団に不参加は通用しないんだから!」

コイツもなかなか大掛かりなことを考えるもんだ。俺はもう呆れ果てるしかない。しかし――まあ。

俺達にはどうやらこのくらいのことは朝飯前らしいぜ?


そして翌日。

集合場所は長門のマンション。

集まった俺たちの前には、昨日長門が作ったという衣装一式があった。どうやら俺が白バイ隊員役らしい。こんなもん着たらマジで逮捕されそうだぞ。

古泉が言う。

「……まず銀行輸送車を見つけて、白バイ隊員に変装した貴方が車を止めてください。」

おいおい古泉、とうとうお前にもハルヒの物騒発言症候群が移ったか?

「そこで貴方は言うんです。警察の者ですが、他の警察署からの緊急連絡で、貴方の銀行の支店長宅が爆破されました。この輸送車にもダイナマイトが仕掛けられているという連絡があったので、車の中を調べて下さい、と。」

それでいいのか? いくらなんでも無理があるだろう。

だが古泉は、俺の顔をジッと見つめながら微笑んでいるだけだ。仕方ない。やるだけやってみるか。


銀行輸送車はすぐ見つかった。駅前にある大きな駐車場の一角に停まっている。その車が走り出したのを見計らって、こっそり後を追う。人目のつかない場所へと走らせたら俺の出番だ。白バイ隊員らしい顔つきで走行中の現金輸送車を反対車線から追い抜き、俺は左手を挙げながら輸送車の前を塞いで停車させた。

運転手「どうかしたか?」

「すみません、警察の者です。他の警察署からの緊急連絡で、貴方の銀行の支店長宅が爆破されました。この輸送車にもダイナマイトが仕掛けられているという連絡があったので、車の中を調べて下さい。」

運転手は目を丸くして言った。

「なんだいそりゃ。そんな話は聞いてねえぞ」

当然の反応だな。

「とにかく調べてくれ。早くしろ」

俺は輸送車に駆け寄り、ドアを開いた。運転席にいた男4人も降りてきた。俺は車体の下を見た。

有ったぞ!ダイナマイトだ!爆発するぞ! 早く逃げろ!

運転手「何だって!?」

運転手らは慌ててその場から離れた

車移動します!

俺はそう言って現金輸送車に乗り、運転してその場から離れた...

そうさ。俺が車体の下に放ったアレはダイナマイトなんてものではない。ただのパチモン発煙筒さ。俺はどさくさに紛れて約3億円を手に入れたのだ。これはハルヒも大喜びだろうな。

ガハハ。


こうして、銀行強盗事件は無事に遂行できたのだった。

これで終わりならよかったのだが、そうはいかなかった。警察がすぐにやってきたからだ。もちろん、俺達がやったことなんかバレていないはずだが(当たり前だ)

だがパトカーに先導された警官隊が俺たちの前に現れた時には正直驚いた。が、長門が横に居たから不思議と何となく安心できた。運転手らは「3億円を運んでいた現金輸送車が盗まれた!」とほざいて警察にチクったのだろう。

まぁ、当たり前か。3億もの金を持ってる奴がそこら辺に居るわけがないんだ。犯人は誰だと警察は必死になって探し回るに違いない。

古泉が言う。

「逃げた方がいいですね」

長門は無言でうなずいている。

朝比奈さんはオロオロしている。

盗んだのはいいのだが、この3億円で何をする気なんだ?

ハルヒ「もちろん、我がSOS団の合宿費に使うわ!」

いくら合宿とは言えどそんな使わんだろうに。

〜完〜

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