103.林檎物語

『桜切る莫迦、梅切らぬ莫迦』ということわざみたいな物が有って、梅の枝は剪定せんていしないと見栄えも花の付きも良くならないけど桜の木は剪定するとおかしなことになっちゃうよって言う意味なんですよ。でも実は、桜って『薔薇ばら科』の植物なんですよ。で、薔薇って剪定するでしょ?そして、実は林檎りんごも薔薇科の植物で、枝の剪定を青森県では真冬の二月頃にするんですよ。その剪定技術を桜のお手入れに応用してるから、弘前城の桜は毎年、圧倒的な美しさで咲き誇るんだそうです。素敵なお話だと思いません?薔薇と桜と林檎の関係。


 林檎は桜の花が咲き始めるのは桜の花が散った頃、この辺の連携もなんか良いなって思います。春の青森はホントに木々の花が素敵な季節、冬の過酷な環境から解放されたって言う喜びに満ち溢れる、そんな雰囲気に溢れます。そして、季節は過ぎて極早生品種の夏緑なつみどり花祝はないわい等は8月上旬から中旬に収穫が始まって、晩生種の代表格『ふじ』、『シナノゴールド』、『王林おうりん』11月上旬頃に収穫されますよ。極早生品種はシャキシャキとしたキレキレの食感が素敵で晩生種は食感に加えてまったりとした甘さが素敵なんですよね。一口に林檎と言っても色んな品種が有ってそれぞれに味わいが有って、とても美味しい果物だと思いますので、ぜひその違いを堪能して見て下さいませ。


 さて、その晩生種の収穫が始まる頃、私の実家では家の中が林檎でいっぱいになってました。『林檎箱』ってご存じかしら?幅が60センチくらいで奥行きがその半分くらいの30センチ、高さもだいたい30センチくらいの木製の箱で、それが家の通路なんかにどんどんどんと置かれておりました。勿論、その中は林檎であふれてて甘酸っぱい香りを放っている光景、今は見る事が出来なくなってしまいましたが季節の風物詩として私にとっては懐かしい風景です。


 そのまま齧っても、煮ても焼いても美味しい林檎、間も無くシーズンインですよ、たくさん食べて病気知らずで寒い時期を乗り切りましょうね。

 なんでこんなことになってたかと言うと、過去何度かお話しましたけれど、私の父親が農業機械関係のお仕事をしていて、出先の農家さんでお土産って言ってもらってくるんですよ。林檎農家さんは在庫を潤沢に(まぁ、その季節の収穫量にも寄りますが……)在庫を持っているので林檎箱一個ぐらいの量は痛くも痒くもない訳で、しかも、わざわざ機械の修理に来てくれた父に対してめちゃめちゃ感謝して頂けるわけですよ。更に、今年はこんなに良いのが採れたぜって言うある意味自慢みたいのも有りますから惜しみなく渡してくれる訳です。


 そんなんですから私が実家で暮らしてた頃、林檎をお金を出して買った記憶が御座いません。林檎は天下の周り物で自然と手元にやって来る物。スーパーなんかで売られてる物の値札を見て思わずうわぁって思う事も多々ありました。それは埼玉で暮らす現在でも同じで、なんでこんなに高いんだって思わず二度見してしまう事も間々有って中々手を出せなかったりするんですよね。林檎に対する贅沢病は今になっても治っていない様です。


『林檎が赤く色づくと医者が青ざめる』なんて言う諺もありますね、世界中で言われてる言葉なんだそうですよ。ここ最近は昔の大きくてゴージャスな物よりも掌にすっぽり収まるくらいのサイズの物が好まれている様で、私も実はそのくらいの物の方が売れるんじゃないかって昔から思ってたんですが、時代が私に追いついた様ですねって、だからどうした状態なんですよね。


 そのまま齧っても、煮ても焼いても、食材にしても美味しい林檎、沢山食べて来る冬を病気知らずで過ごしましょう。

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