87.はまちがハウマッチ・・・

 日本食が世界的に浸透してきて、海外ではクレイジーに見えていた生魚を食べる文化もじわじわと浸透してお寿司は形的には色々と日本の物とは違うとは言え広がって行ってる訳ですね。


 外国の皆様に人気のお刺身で使われてるお魚と言うと、筆頭は『サーモン』その次に鮪や鯛なんかが続くみたいですね。最近ではデビルフィッシュと言われて見た目で敬遠されていた『たこ』もその食感と淡白な風味が人気らしくて消費量は右肩上がりなんですってよ。


 ただ、その中でも中々消費量が伸びないのが『はまち』なんだそうです。その成長過程でモジャコ(もしくは若鰤わかし)、いなだ、魬、ぶりと名前が変わる出世魚として有名で日本国内では縁起物として有難く思われていますが、おさしみにした時の断面が白くて脂ぎった見た目で海外の皆様には食欲や興味をそそる見た目とは言えないんですってね。美味しいのにねぇ。私は冬の時期、寒鰤と熱燗があれば素直に幸せになれるんですが……


 俳優の『キアヌリーブス』さんをご存じでしょうか?


 一番有名なのは『マトリックス』シリーズに主演した時のネオ(Neo)役でしょうか?ネタばれるのでここでは作品には触れませんが私好きなんですよね、お話も映像もとっても革新的で最後に感心するくらいの落ちで落とす、良い作品だと思います。で、このキアヌリーブスさんは日本食大好きなんだそうですね。結構頻繁にお忍びで日本に来てはいろんなところで食べ歩きをしているらしく、お寿司も好物の一つなんだそうですよ。


 で、ある時、某高級お寿司屋さんでお寿司を堪能していた時に周りの日本人のお客さんがカウンターで『How much』と値段を尋ねる声が頻繁に聞こえる事に気が付いたんだそうな。お寿司屋さんでお寿司を注文する時(特に回らない高級すし店で注文する場合)日本人は食べたいネタをそれぞれ単品で注文して行く事が多いですが、外国の方の場合『Omakase(おまかせ)』で注文する事が多いからおのずと全体の予算は注文した時点で決定する訳ですが日本式の注文の場合、満足するまで最終的な値段が分からない、だからそのつど値段を確認してるのかなと思ったらしいんですが違うんですよ。


 日本の皆様が言ってたのはHow muchではなくハマチ……


 済みません、ダジャレで。でも、この時にキアヌリーブスさん、魬の事を始めて知ったんだそうで確かに見た目は食欲をそそらない、でもここは日本人の味覚を信じようと言う事で食べて見たんだそうで、そこからドはまりしたんですって。


 以前、ちらっと書いた事が有るんですが、外国の皆様も鮪の角切りで日本酒呑む様になれば一人前だぜとか書きましたがそんなもんはとっくの昔にクリアしてて、私の目には日本人だから外国人だからという区分は完全になくなっててお刺身は誰が食べても美味しいと認識できる料理であると世界的に認められたと認識しております。そして思うのですよ、魬が世界的に広まって冬場にとんでもない値段で売られることが無いようにと。鮪と違って比較的リーズナブルで美味しいから結構お手軽に楽しめるお魚じゃないですか。


 来年の今頃、とんでもない事になっていません様にと心から祈ってます。

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