62.甘酒は夏の季語

冬も深まり寒い日は、お部屋でおこたに入って熱い甘酒をふうふう言いながら飲むのって、ああ、日本だぁってしみじみ感じてしまいますね。これからの季節、温かい甘酒って飲むとお腹の中から合ったっ待ってしみじみとほっこりしますね。ある意味熱燗飲むより私、好きかもしれない。


甘酒は、まぁ、今流通しているものとは全く違うのかも知れませんが作られた痕跡は縄文時代や弥生時代にまで遡ってみる事が出来るんだそうですよ。その当時はコメを発酵させて飲むと言う物だったらしいのでひょっとしたら、アルコール分も含まれて居たかもしれません。現代の物は蒸し上がった餅米に米麹こめこうじと水を加え30℃前後で発酵させるんだそうです。この温度が高すぎるとアルコール分が出来てしまって温度が低すぎると発酵が遅れ、旨味や甘みが不足するんだそうで、かなり微妙な工程を経ないと出来ない飲み物なんだそうですね。


甘酒の甘みは砂糖を加えた甘さでは無くて発酵したときに出来た『ブドウ糖』の甘さなんだそうですよ。で、甘酒ってその他に蛋白質、ミネラル、各種ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれていて現代の私達には冬の飲み物と言う認識が強いかもしれませんが古来甘酒は夏の飲み物だったんですって。江戸時代もそれなりに夏は暑くて今みたいなエアコンも無い、しかも湿度もかなり高いから当然夏バテしたりなんかするわけですよ。そういう時に滋養強壮に飲まれてたのが甘酒なんですって。


『あま酒の地獄も近し箱根山』与謝蕪村よさぶそん


上りの道中なのか下りの道中なのかは分からないみたいですが東海道を進んで間も無く地獄谷(江戸時代には地獄谷と呼ばれていた箱根宮ノ下にある大涌谷)難所が近づいてきたなぁ・・・はぁ・・・てな感じの意味でしょうか。箱根ロープウェイで15分の工程も江戸時代の方々にとっては過酷な道のりだったんですね。そういう時に頼りにしたのが飲む点滴とも言ってよい湧き水できりりと冷やした甘酒だった訳ですね、甘酒飲んで精をつけるのは当時の旅人のスタンダードだったのでしょうね。


ただ、江戸時代の後期に入ると甘酒は体を温めて飲むと体がものすごく温まるのとノンアルコールだから子供も飲めるという理由で冬場にも売られる様になって、その習慣が夏の習慣を上回って冬の飲み物と言うイメージが定着していったみたいですね。


好き嫌いが分かれる飲み物では有りますが、疲労回復以外にも美肌効果なんてぇのもあって特に冬場に飲むのが効果的みたいなんですよ。お酒飲めなくてもお酒の雰囲気を味わえる飲み物です。大人な雰囲気を醸し出しつつ甘酒すすりながら寒い冬を乗り越えてみたいなぁなんて思ったり致します。


なお、甘酒と白酒は餅米をそのまま米麹で発酵させるか軽く磨り潰して発酵させてアルコール分を発生させるかの違いが有るんですって。だから、未成年の皆様は白酒は飲んじゃダメよん。

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