第178話 写真の友達
「先日ちょっと、実家で不可解な事がありまして」
そう話し始めた飲み仲間のSくん(45)
彼の母親が押入れを整理している時に、アルバムに綴じていないバラの写真が100枚ほど出てきたそうだ
「あんたが小学生の頃の写真も4〜50枚あったよ」
とある土曜日、実家に寄ったSくんは、その写真の束を見せられた
小学校4年生くらいの頃の、友達と遊んでいるショットだ
Sくんの部屋と、家の前で撮影されたものばかりだ
5、6人で写っているものもあれば、2人きりで写っているものもある
その50枚ほどある写真のほぼ全てに写っている、ハーフのような顔立ちの男の子
Sくん「これ、誰だっけ?」
母親「綺麗な顔した子だねぇ・・・はて?誰だったっけ?」
2人ともその男の子が誰なのかを思い出せない
Sくんとのツーショットも多く、2人で肩組んでいるのもある
「えっ、マジ誰だっけ?」
6人で写っている一枚の写真をスマホで撮影したSくんは
その6人の中にいて、今でもたまに飲むIくんにLINEを送った
『なあ、こいつ誰だっけ?』
すぐ既読になり返事がきた
Iくん『懐かしいな〜!こんなのどうした?MにAにDにお前に俺、そいつはちょっと分からん』
Sさんは、別日に撮ったであろう数ショットも送ってみた
『いや・・・知らん。こんな奴全然記憶ない』
その後Iくんは、そこに写っているDくんに画像を送ってみたらしい
『Dも知らんと言ってるぞ?』
それから数日の間にMくんやAくん、そのまた連絡の取れる同級生に画像が拡散されたが
誰1人、彼を知る者はいなかった
ある女の子から『それってSくんの御近所に外人の子供さんが遊びに来てたとかじゃないの?』とメールが来たが
Sくんの両親には、そんな記憶が無いという
Sくん「・・・で、今に至るというわけです」
俺「その画像、今ある?」
S「あ、見ます?」
確かにハーフのような顔立ちの男の子がSくんと肩を組んでいる
「こんな親密そうなのに覚えてないの?笑」
「はい、全く笑」
「・・・ん?」
「どうしました?」
「Sくんって幾つだっけ?」
「45ですよ」
「てことは小4として・・・35年前よな、これ」
「そうなりますね」
「ちゅうことは1989年として・・・ちょっと待ってな」
「なんか分かったんですか?笑」
「・・・えっ?マジで?」
「ど、どうしたんですか?」
「なあ、この少年のTシャツ見てみ?」
「Tシャツ?・・・あ〜バッドボーイですね。大学生のころ流行ったなぁ〜」
「ほら、それよ」
「はっ?」
「BAD BOYが日本で販売を始めたのは1996年なんだって。これ(写真)、その7年前やで?」
もしかすると本場カリフォルニアで購入したのかもしれないが・・・
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