第174話 示唆

沖縄県中頭郡嘉手納町に住むMさん


月曜15時40分。

東京の市外局番で携帯に電話が掛かってきた


明らかに間違い電話だと思い、出ずにいると留守電にマークが付いた


再生してみる


『◯◯大学附属病院口腔外科の◯◯と申します。先ほど間違えて次回の予約日をお伝えしてしまいましたので、お手隙の時にお電話戴けませんでしょうか』


手の込んだ詐欺電話だろうか?

電話番号をネットに入力してみる


◯◯大学附属病院、と出た


あ、本当の間違い電話だったか

まあ放って置いても大丈夫だろう


それから1時間後の16時43分


また知らない市外局番から携帯に着信があった


054ってどこだ?


コールが切れた後、また留守電が入ったようだ


『◯◯内科クリニックです。次回は胃の検査ですので、お間違えのないようお願いします』


番号を調べると、実際にある静岡の個人医院からのようだ


2回続けて異なる病院からの間違い電話とは笑


そして3時間後の19時25分


082と市外局番の付く番号から電話が掛かってきた


・・・また?

出た方がいいだろうか?


Mさんが躊躇しているうちに電話は切れた


そして留守番が入った


再生する


『◯◯病院脳神経内科受付でございます。Mマモル様の電話番号でお間違えないでしょうか?本日ご予約でしたが・・・明日、改めてお電話いたします』


また病院って・・・しかもMは合ってる


今回も実際に広島にある総合病院からだった


3回とも、俺と別のMとを間違えたのだろうか?

そんなことってあるのか??


同一人物が仕掛けた悪戯とは考えにくい


Mさんは気味が悪くなり、三度あることは四度あるのではないかと身構えた


次、知らない番号から掛かってきたら出るつもりだ


・・・が、この日はそれ以上、間違い電話は掛かってこなかった


たまたま重なった偶然だろうか・・・


今ひとつ釈然としないまま、Mさんは眠りに就いた


深夜。


枕元でブーブー鳴る携帯に気付いて目を覚ます


電話を手に取る


080・・・誰だ?

今、何時だ?


そのうちコールが止み、画面が時間表示に変わる


AM3時36分。

また、留守電に切り替わったようだ


寝惚けていたMさんは、ようやく昨日の間違い電話を思い出した


これも何か関連があるのだろうか・・・


怖くなり、Mさんは思わず部屋の灯りを点けた


意を決して留守電を再生する


『・・・どうやら僕は、手遅れです』


それだけが初老男性らしき声で呟かれ、直後プーッ、プーッと通話の切れる音


Mさんは到底、リダイヤルする勇気など無かった


この4件の留守電をMさんは消さずに残しており、聞かせてくれた


俺「最後の、男性の声と話し方、なんだかMくんに似てない?」


M「あ、やはりそう思われます?彼女にも言われました」

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