第139話 自我のあるうちに

リエさんが浴室から出ると、部屋の明かりが消されて真っ暗になっている


「もう〜やめてよ〜怖がらせるのぉ〜!」


脱衣所から真っ暗な部屋に向かって叫ぶが、誰も反応しない


「ちょっとゆうちゃん!ゆうちゃん?!ほんとこういうの止めて!!怖いから!!」


反応がない


「もう!ホントにやめてって!こういうの嫌いだって知ってるでしょ!!電気つけてよ早く!!」


反応がない


「いい加減にしてよっ!!」


リエさんはバスタオルを体に巻くと、脱衣所を出てスタスタと足早にリビングに向かい、乱暴に壁のスイッチを押した


明かりが点く


リビングダイニングのそのスペースには誰もいない


テーブルには、リエさんが食べ終えた汚れた食器と


向かいにはもう1人分、全く手をつけていない、ご飯や料理が盛られたままの茶碗や皿が置かれている


最近ではもう、現実と空想との境目が分かりにくくなってきた


ふっ


明日こそ不動産屋に行こう


ふふっ


一刻も早く環境を変えないと私、絵里に戻れなくなる笑


うふふふ

おほほほほ

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