第80話 未知の災害

【ドオォォォン!!!】


「うわっ?!」


天井から凄まじい音が響き、Mさんは飛び起きた


「なに?!なに?!なに?!」


隣で寝ていた奥さんも怯えた顔でキョロキョロしている


Mさん「上だよな?」

奥さん「上よね?」


上の階には老夫婦が住んでいるのだが・・・


「タンスでも倒れたのかな?」

「どうする?見てくる?」


時計を見ると午前2時10分

早起きの御老人だからといって、流石にまだ寝てる時間だ(今ので起きたかも知れないが)


「う〜ん・・・」


その時


【ドオォォォォォーン!!!!】


再び物凄い音がして天井が揺れた


これは尋常じゃないと2人は上着を羽織り、玄関を出る


同階の住人も数人出てきており「怖い怖い」と言い合いながら皆で非常階段を上がって行く


既に上階の住人が老夫婦宅のインターホンを鳴らしているところだったが


中から反応がないため警察に連絡


夜中ではあったが警察・消防がけたたましくサイレンを鳴らして駆けつけ


マンション周辺は大騒ぎとなった


10分ほど経ち、室内に入っていた救急隊員が「皆さん下がってください!」と叫び


2台のストレッチャーが出てきたが、おそらくそれは老夫婦お2人だったのだろう


翌日昼まで実況見分がなされ、大まかな状況が住人に伝えられた


老夫婦2人は、頭蓋骨を含め全身が粉砕骨折し、隊員が乗り込んだ時には既に亡くなっていた(おそらく即死)


また部屋中の窓ガラスが全て "室内に向かって" 粉々に割れて散乱しており、ガスなどに起因した爆発ではないという


家具も倒れておらず、2人をそこまでに至らしめた原因となるものが何一つ発見できなかったという


いわば何らかの作用により空気が寝室に向かって急激に圧縮したのであれば説明がつくそうだ


だが厳重な管理下に置かれた耐圧実験中でもない限り、そんなことは自然には起こり得ないだろう


ましてや音が2回したというのも解せない・・・


警察官「音が2回、ですか?」


Mさん「はい。初めの轟音で目覚めて、驚いていると2回目が」


「ん〜おかしいな・・・」


「何がですか?」


「他の皆さんは全員、音は1回と仰ってるのですが」

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