第42話 喪中はがき
数年前の年末、上の娘がウチに留守番に来てくれていた
12月30日の昼、海上から上の娘に電話を入れる
「あ、そういえば父さんが出航した翌日(23日)に届いてたみたいなんだけど、喪中はがき」
「あ、カレンダーの棚の上に全部置いてあるから、重ねといて」
「それがさぁ、間違いっぽいんだよね」
「えっ?なんで?」
「東京の◯◯さんって男の人からなんだけど、知ってる?」
「いや・・・どうだろ、知らないかな?」
「宛名が『◯◯様・明子様』ってなってるのよ。名字は合ってるんだけど。父さん再婚した?笑」
「ちょっと待って。それいつ来たって言った?」
「ん?えーと消印が12月19日ってなってる」
「誰が亡くなったって?」
「えーとねー、12月12日にお母様のわか乃さんって方が94歳でお亡くなりになったって」
「ちょっとさ、カレンダーのとこの喪中はがき、見てくれない?」
「あ、ちょっと待って・・・はい、来たよ」
「その中に、横浜の女性から届いてない?」
「ちょっと待ってねー・・・横浜、横浜・・・あ、これか」
「それ、裏見て」
「えーと・・・あっ!うそ?!父さんと明子様宛になってる?!」
「やっぱりか・・・いや、前から父さん宛に、明らかに御年寄向けの案内とかカレンダーとか届いてたやろ?それに関係あるのと違うかな・・・」
「あ、そうか!父さんと同じ名字の御夫婦と、何らかの手違いで間違えて・・・えっ?・・・えっ??」
「・・・ん?どうした?・・・おーい」
「どういうこと・・・」
「なにが?」
「・・・このはがき、10月21日の消印なの。で、10月5日に"お母様のわか乃さんが94歳で"亡くなった、って書いてあるの・・・」
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