ここは雲の上
私はまだ子供だった。
足元がふわふわする。昨日は布団で寝たはずなのに。
ここはどこだろう?
なんだか明るいところだ、気が付くといつの間にか目の前には白い服を着たおじいさんがいる。
「お前は死んだんだ」
突然告げられた言葉に呆然とするものの、今の状況を見て納得する他ない。
死ぬとみんなここに来るんだなーと雰囲気のあるおじいさんの前で考えているとまた話し始めた。
「お前は気が付かないうちにここに来てしまったようだから最後に親しい人々に別れを済ませる時間だけ与えてやろう」
お別れも言えなかったな、とちょうど思っていたので渡りに船というやつだ。ありがたく甘えるとしよう。
すると、裁判所の被告人が立つような柵の奥側からまるでエレベーターから上がってくるかのように家族が一人現れた。
突然いなくなってしまって悲しかった、でも一目でも会えて良かった。
お互いに挨拶をしているうちに、すぐに家族はその場にいなかったように煙のように、星の砂のようにキラキラと消えてしまった。
もう少し話していたかったのに、でも会えずに居なくなったのは私だから会えただけで喜ばないといけない。
そう私が考えているとどうやら次の人物もいるらしい、なんと会えるのは一人ではなかったようだ。
なんとも幸運な話だ、次は後悔しないように覚悟を決めて誰が現れるのか今か今かとその瞬間を待つ。
なんと現れたのはいつもお世話をしてくれるおばあちゃんだった。
私より早く死んでしまうなんて、おばあちゃんが悲しそうにしている。
いつもしっかりしていて頼もしいおばあちゃんが泣いているのを見て、私はあっけにとられて初めて死んでしまったことを悔やんだ。
そうこうしているうちにおばあちゃんを泣き止ませる言葉も思いつかない間に消えてしまった。
会えて別れを告げることができるのは、嬉しいと同時に後悔も否応なく自覚させられる。
鈍感な私でもそろそろ死んだことが悲しくなってきた、急にいなくなってしまったと告げる家族。
私より早くに、と嘆くおばあちゃん。
おばあちゃんは泣いていてまともに言葉をかわすこともできず、私は何をしているのだろう。
自分のことばかり考えて、最後に会えて嬉しいなどと気楽に捉えていたことを後悔した。
今にも泣きそうな気分だ。
次に現れる人物が最後になるらしい。
私は今度こそ後悔しないように、この場に誰が現れるのかを真剣に待つ。
最後に現れた人物は、、ああ!!私の親友・・!
親友は曖昧な表情で私を見ている、、ああ、言葉が出ない。
でも、なんだか不思議な気分だ。
目の前にいるのは、確かに親友だ、親友のはずなのだ。
だってこんなにも顔を見たいと思っている。
おかしい、何故私は親友の顔が見えないんだ?そもそもこの親友は、本当に
私は不思議に思いながら意識を必死に親友?の顔に向ける。
そして、私がその顔をはじめてはっきりと認識したその顔には、ぽっかりと穴が開いていた。
夢で見た怖い話 乾麺 @mi_ddle
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