雪山の施設をメンテナンス
リフトに座って山を登っていく。
2人くらいは余裕を持って座れそうなリフトだ。
あぁ、こんな寒い夜にメンテナンス作業だなんて。
早く家に帰りたい。
そう思いながら高い山をどんどんと揺られながら登っていく。
遠くに施設の明かりが見える、そう思っているといつの間にか到着したようだ。
清潔感のある白い建物だ。
自動ドアを抜けて、すぐのところに広いテーブルの受付がある。
夜勤の方だろうか?
「すみません、メンテナンスに伺ったものですが……。」
「お世話になります、ご案内しますね。」
挨拶もそこそこに慣れた様子で、今日の作業場へ案内してくれた。
--恐らくベテランの方だ。
あとをついていくと部屋の角に脚立が置いてある場所に到着した。
「こちらになります、1〜2時間後にまた様子を見に来ますね」
そう告げて、部屋から出ていった。
早速メンテナンスをしようと脚立を登って、天井裏の戸を開けて中の様子を見る。
明らかに故障しているな、故障している箇所を新しい部品に取り替えれば済みそうだ。
脚立に跨り、天井裏に頭を突っ込んで作業しているとしばらく時間が経った。
1〜2時間くらいは作業をしていた気がする。
作業を終えて天井裏から抜け出そうとするも驚くことに身体が抜けない。
受付の人も気付いていないのか、辺りに人の気配はない。
--ふと、何年か前にもこの施設で同じようにメンテナンスをしていたことを唐突に思い出した。
何故忘れていたのだろう、私はあの時もここから抜け出せたくなって、そのまま……。
その時、受付の人が当時と同じことを思い出し私は恨みがましく声を上げた。
「私をあの時見捨てたのはお前かぁ!!!」
かすれた声で叫ぶ。
ワタシは受付の方へ飛びかかるように向かっていった。
受付も思い当たることがあったのか、顔面蒼白で尻餅をついて震えていた。
私はあの時もうすでに死んでいたのだ。
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