第11話 悪あがき。

せっちゃんは……すでに

満足に、食事をしなくなった。


お姉ちゃんに連絡が入る。


《完全栄養食に切り替えます》


《お願いします。》


完全栄養食……それは

緑の色をした、見た目から

不味そうなプリンの様な、、、


食べ物だった。


私は……最初、そのプリンを

見た時に。

《うわぁ。最悪なモノだ。》



色が……真緑。気色悪い。


せっちゃんが……寝たきりなので

目を覚ました瞬間に……

《はい!せっちゃん、アーン》



と……不意打ちで食べさせる

しかなかった。



次第にせっちゃんも……不味い

モノを食べさせられる。


と……認識したみたいで、


《せっちゃん、アーン》

とごまかしても、口をガンとして


開けなくなってきた。



完全栄養食をも、薬局で買い、

特養へ走った。


《これなら。せっちゃん

  食べるかな?はぁはぁ。》


《ありがとうございます!

  試してみます!!》



特養のスタッフさんも


ウチの家族も、最後に向かって


頑張っていた……。

当事者のせっちゃんも


生きよう。生きようとしていた。



そして。また……



《勢津子さんの容態が……


  急変しました!!


危ないです!!来て下さい!!》



お姉ちゃんは……特養へ走った。


特養のスタッフさんも

ただ事じゃない……と察していた。



せっちゃんが……少しだけ

落ち着くと、


お姉ちゃんは……特養から

慌てて、帰って来た。



お姉ちゃんに最終告知された。


《〇〇?最後になるかもしれない

せっちゃんに……会っておきな!?》


え?!


私は……驚いて、特養へ出向いた。



そこには、背中をさすられて


大きな機械が置いてあり、


タンが……絡んだのを

ズボボボっと吸い込む機械が

あった。



とてもじゃないけど、見てられない!


せっちゃん!!

せっちゃん!!



私は……せっちゃんが苦しんで

いるのを、見ていた。



背中をさすると、脈拍が……

少し上がる。



タンが絡む。背中をさする。


脈拍が上がる。の繰り返し

だった。



もう、後が無い。


私は……特養のスタッフさんに


《最後になるかもしれない

から、息子達を呼んで来ます!》



慌てて、家に戻ると、

次男が……せっちゃんに

会いに向かっていた。



長男は……絵を描いていた。

まるで、明日描けないから、とでも、言うように……。



しばらくすると。次男が

帰って来た。


《せっちゃん、どうだったの?》


次男は……余り話さなかった。



お姉ちゃんが……一呼吸した時

連絡が入った。


《勢津子さんが!!?

   息を引き取りました。》





お姉ちゃんは……走った。

長男も、バサッとせっちゃんに

買ってきてもらったブルゾンを


はおり、ダッシュで特養へ

走った。



707号室では……すでに、

通夜や、葬儀に向けて、体を

綺麗に拭いていた……。



お姉ちゃんに……確認作業を

進めると、私は……



葬儀会社に連絡した。



全て手配が……すむと

霊柩車は、実家の前を通り、



葬儀会場へ向かっていた……。



私は……葬儀会場に先に着いて


葬儀の打ち合わせの為に

座って待っていた……。



発作が起きる。


こんな時に、何で?!

夜に、さしかかる時には、



お姉ちゃんと、せっちゃんが

葬儀会場へ着いた。



葬儀会場のスタッフさんは、


葬儀の費用の事や、手続き、

信仰、また装飾品などを


次々と、決めていった。




私が……生前に大体の事を

決めていたので……



早かった。葬儀スタッフさんが



茶碗に……山盛りのご飯を

用意して、中央には箸が刺して

あった。



魔除けも、両わきに……置いた。



花々が……着々と飾られると、


お坊さまと、すれ違った。




発作を起こしたので

お姉ちゃんにバトンタッチした。



家に戻ると、次の日までに

印鑑が必要だと、思い出して


息子達に印鑑をお願いした。




長男は……車酔いするので

とても、キツそうだった。



葬儀会場では……

お坊さんによる、枕経が始まった。



深夜近くに、東京から

せっちゃんの妹さんが……


わざわざ、足を運んでくれた。



せっちゃんの妹さんと

お姉ちゃんは……



二人で……せっちゃんと、



川の字になり、眠ったそうです。


なかなか、眠れなかった

お姉ちゃんは……せっちゃんの




安らかな遺体を前に……



一人、涙を流していた……。

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