第9話 アザまみれの顔から、一転。
《ベッドから落ちました!》
私は……疑問を未だに感じていた。
長男に話すと……
面倒くさそうに。
《じゃあ、自分で面倒見れば?
にしても、おかしいよな……?》
疑問が……残ったまま、
気の毒に……。せっちゃんは
その後も、お茶を飲んでは、
ご機嫌だった。
【まるで、騙されてるみたい。】
せっちゃんは……コーヒーの
時間や、食事で……
あのアザまみれの事を、
うやむやにされてる様子だった。
せっちゃんも、認知症なので
特養スタッフは、ホントに……
いい加減だったのだ。
そして。ある日…………。
《上の階が……空きました。
入られますか??》
と……お姉ちゃんの所へと、
連絡が入った。
話しによると、上の階の入居者が
一度に……10人程亡くなった。
との事を話していた。
《は?!!》
長男は……驚いていた。
《やばいやろ!!?そこ》
長男が……やばいやろ!!?
と……。あの鈍感な長男すら
やばい?!!と……言う上の階。
お姉ちゃんは……安く済むなら。
と……。決めてしまった。
部屋は、707号室。
一見、サロンの様な造りで……
まだそこの特別養護老人ホーム
は……出来たてだったので
綺麗で……当たり前なのだが、
また上の階でも、
ベッドから落ちました報告が
あった。
また、私が……病院へ連れて行く羽目になった。
今度は……昼間だったので
発作も無く、送り迎えも、してくれた。
病院へ着き、診察を受けると……
先生が……激怒した。
《どちらで?!》
《あ!老人ホームです。》
《ちょっと!!これは……
酷い!!!叱り飛ばしておくから。これは、縫わなきゃ
いけないよ?!
全くーー💨》
私は……せっちゃんに対して
不安がらない様に、体を
優しく、押さえた。
看護婦さんと、先生が……
《今から、ここで縫うけど、
娘さん、血は大丈夫?!》
《?!?はっはい?!大丈夫です!》
先生は……糸と針を慣れた手つきで用意して、
サッサッサッとせっちゃんの
額を縫い始めた。
消毒液で……血が溢れた。
先生は……特養に後で電話
しておきますから。
と言い、せっちゃんは……
10針縫った。
その後、お迎えに来てもらうと
特養に着くなり……
スタッフの全員が頭を下げてきた。
まぁ、そうだろうね?
悪いのは、そちらだから。
夜間勤務を、増やさなかった
特養に原因が……あるもんね?
担当していた女性スタッフは
責任を取り、姿を消した。
その後、そのスタッフだった人
は……セブンイレブンで、
働いていた。
私が……あれ?とじぃぃと……
見ていたら。
セブンイレブンからも、
姿を消した。
なんじゃ?!アイツ。
上の階に、移動したせっちゃんは……
慣れてきた様子だった。
私は……明治のR-1を
毎週、毎週、1週間分を
まとめて、運んでいた……。
せっちゃんは……牛乳やらが
とても好きだから。
7階の介護スタッフさんが……
ある日
《勢津子さんに、おやつを
持って来て下さい。どら焼き
とか……。》
私は……
《あ!!分かりました!
すぐ用意します!!!!》
セブンイレブンへ、自転車を
走らせた。
R-1とおやつを、
毎週、持参していた……。
特別養護老人ホームとは、、、
一体、何なんだろう???!
おやつを持参なんて……。
一番豪勢なおやつは……
ダントツで……せっちゃんだった。
上の階に来ると、
家族は……途端に面会に来なく
なるのだ。
良くて、月に1度。
本当に、おじいちゃん
おばあちゃん達が……。
行くたびに、つまんなさそうに
ただ、ただ、
ボーーっとして、時間を潰していた。
せっちゃんの担当に、新しく
なった人は、
表情が……冷たかった。
1度目にしたが……
せっちゃんを強引に起こして、
トイレへと、強引に連れて行くと、トイレの洗面で……
顔を洗っていた……。
せっちゃんは、成すがままで。
私も、この担当好きになれない。
介護は、流れ作業なんかじゃ
ない!!!!
その担当スタッフは……
その後、辞めて行った。
入れ替わり、立ち替わりが、
そこの特養は、激しかったのだ。
裏を返して、考えると……
不祥事が……多発するから
で……あろう。
後には……今更、引けない。
後悔まみれな、介護には、
したくなかった。
次の担当スタッフさんは……
若くて、思いやりが……強そう
な、方が……せっちゃんに
付いた。
ようやく、せっちゃんは……
明るく、過ごせれる様に、
なったのだ。
この優しい担当スタッフさんは……。
最後まで、面倒を見てくれた。
せっちゃんの通夜会場まで、
足を運んで……くれた。
せっちゃんは……7階でも
色んな事が……あり過ぎた。
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