第8話 ひと月後に……

私は……それ以降

特養には……行かなかった。


いや。行きたくなかった。



せっちゃんの事は気になって

いたが。


気分が……乗らない。




お姉ちゃんは……頻繁に

特養へ、様子を見に行っていた。



お姉ちゃんは、私に、優しく

話した。


《〇〇?せっちゃん、落ち着いてるから、様子見に行けば?》



数日間、私は……考えた。



~行くしか無い!~


自分を奮い立たせて、特養へ

面会に、行った。



せっちゃんの部屋は……最初は

2階だった。

部屋が空くまで、せっちゃんは

ショートステイ扱いだったのだ。



お金がかかるけど……仕方ない。



2階へ向かうと、せっちゃんは


複雑な表情を浮かべていた。

私は……思った。



(まだ。家が……恋しいんだね)


じゃあ、せっちゃん、

また来るね?



私は……退散した。

これ以上、私が居たら。



逆効果だもんな?……。


お母さん、ごめん、

私は……もう、介護出来ないよ。




寂しく一人、部屋へ戻る。



数日後、またお姉ちゃんに

連絡が入る。



《勢津子さんが!!

 ベッドから落ちました!!

すいません!!!》


お姉ちゃんが……焦って特養に

向かうと、




せっちゃんの顔が……。


半分近く、青いアザが出来ていた。



私は……怪しく考えた。


特養スタッフが……

ムカついて、わざと落とした?

と……考えた。



私は……

せっちゃんの青いアザまみれの

顔を見るなり、



絶句してしまった。


《痛かったね?よしよし。》



その頃……ちまたでは。

介護スタッフの事件が多発していた頃だった。



せっちゃんを数名のスタッフが

取り囲み、部屋へと


物々しい雰囲気で……連れて行った。




まるで、せっちゃんは……

連行されてる様な感じにも

受け取れた。



可愛そうに……。



特養

特別養護老人ホームは……




ある種の、乳母捨て山かも

しれない。

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