第7話 特別養護老人ホームにて。
せっちゃんが……
特別養護老人ホームに入って
数日後の事。
特養から連絡が入る。
《勢津子さんが!!
家に帰りたがってます!
どうしましょう?他の方にまで
悪影響です!》
実家に……居た頃から。
よく話していた。
《家に帰りたい。》と……。
お姉ちゃんが……切り返す。
《あ!!せっちゃんの結婚する
前の実家って意味ですから。
こちらも理解出来てます!》
お姉ちゃん、さすが!!
そうだよね。あんな状態では
……介護も、数名必要だよな?
《お姉ちゃん、ありがとう。》
《いっつも仕事中に……かけてくる!!もう、ホントやだ!!》
お姉ちゃんが……責任者に
なっているので……昼夜問わず
(時間は、相手は考えてくれるが)
電話が……かかってくる。
お姉ちゃんのイライラは……
MAXだった。
その時、また特養から電話が
入った。
しかも。お姉ちゃんが……出張先から、私への頼み事だった。
《〇〇?ごめん!今から
せっちゃんを病院へ連れて行く事
頼める??》
《は!!??》私は……正直
嫌だと言いたかった。
だけど、誰も頼るあてがない。
発作が起きていたが、特養へ
自転車を走らせた。
この状態で……緊急なの??
普通、特養って面倒見るよね!?
脂汗が……頻繁に出る。
震えが止まらない。
最悪。発作が酷い!
せっちゃんの部屋へ顔を出すと
しきりに、
《クビが……痛い。痛い。》
と、言って苦しんでいた。
有無を言わさず、看護師が
部屋へ来ると、
《今から病院へ向かいます!》
私は……。もう、発作がピーク
だった。
幻聴も、幻覚も、発作も
脂汗が……滴り落ちる。
耐えきれない!!!早く!速く!
待っている間……せっちゃんが
《トイレ🚻いきたい。》
と……私は……
《せっちゃん、ガマンして!!》
また、少したつと。
《トイレいきたい。》
せっちゃんも、脂汗をかいていた。
私も、トイレに行きたくなったので。車椅子を押して、
せっちゃんと……一緒にトイレ
に入った。
お互いが……ピークだった。
脂汗で……体中が気持ち悪い!
《せっちゃん、シーして!!
シーして!!》
せっちゃんは……
《シー》というだけで……
トイレも、へったくれもなかった。
もう少し、もう少し、
後、もうすぐ……
《せっちゃん、後少しだから
がんばろうね。》
と……私は、自分に言い聞かせ
ていた。
キツい!発作が気持ち悪い!
助けて……!!!誰か!!!
限界を越していた。
診察が……始まった。
《どうも。クビが痛いとのこと
ですが。一応レントゲン撮りましょう。》
《先生!!!私、今発作なんです!!!付き添えません!!》
《分かりました。こちらで
やりますから。》
それが終わると、また待ち時間が
来る。
ここの緊急外来を恨んだ。
辺りが暗くなって、ようやく
診察の番が……来た。
先生は、
《うーんと、特には悪い箇所
と言えば、第3けいついが
って所ですかね?まぁ大丈夫
でしょう。》
《はぁ。分かりました。》
会計を済ませると……
次は……タクシーを呼ばなくては
いけない。
キツい!発作が気持ち悪い!
速く!家でゆっくりしたい。
タクシー早く来て!!!!!
タクシーが……着いた。
せっちゃんを、気遣うことが
出来ず。
寒空の中で……タクシーを
待ち続けていた。
タクシーの運転手さんに、
発作中で……母親を悪いけど、
乗せて下さい!!と……
頼んだ。
私は……生きた心地がしなかった。
もうすぐ……もうすぐ……
タクシーが……特養に着いた。
特養のスタッフさんが……
一斉に出迎えた。
《勢津子さんの晩御飯は!!??
どうされましたか!?!》
《食べてません。ごめんなさい。
発作中で……キツいので……
帰ります。これだけです。》
私は……特養のスタッフさんに
水の入ったペットボトルだけを
渡すと、
自転車に乗り、慌てて家に
帰った。
ようやく、ひと息つくと……
睡眠薬を慌てて飲み、
床へ着いた。
気持ち悪いくらいに、服が……
汗で……ベタベタだったが、
着替えることすら、ままならなかった。
明日、朝にお風呂に入ろう。
私は……介護スタッフさんの
いい加減さを、
思い知ったのだ。
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