第6話 24時間介護は、意外と楽しかった。
私に……とっては。
24時間介護は、意外と楽しかった。
せっちゃんと、寝るまで話して、
私が、夜食にラーメン食べない?
と、せっちゃんを誘うと
嬉しそうに……二人で
ラーメンをゾゾゾっと、しばいていた。
長男に……麻婆豆腐の作り方を
教えてもらって、
いの一番に……せっちゃんの
口へと、運んだ。
シチューや鍋、または豆腐ハンバーグを良く作ってあげていた。
豆腐ハンバーグは、
混ぜる時に、手を動かすと
脳に刺激を、与えるので……
せっちゃんにやらせてみる。
すると。
《こわい。》と、返事が……。
《こわくないよ?混ぜるだけ
だから。やってみ?》
せっちゃんは……おそるおそる
手を入れる。
やはり、嫌がる。
仕方ない。私は……ハイペースで
豆腐ハンバーグを仕上げた。
ご飯を、一緒に食べて、
せっちゃんの足の病院へ連れて行く為に、
私に……出来ることは
全て率先してこなしていた。
~責任取らなきゃ~
ただ、それだけだった。
痛々しい。せっちゃんの足は……
気の毒なくらいで……私の通院の日も
容赦なく来る。
慌ててタクシーを飛ばして
病院へ行き、薬が早く出る様に
ドクターに……頼み込んだ。
慌ててタクシーで……家に着くと
せっちゃんの姿が……!?
《あれ!?せっちゃん?!
どこに、居るの??!》
探すと……お風呂掃除をしていた。
私は……驚き、
《分かったから!!足が酷く
なるよ?!
やるから。良いって!!》
せっちゃんなりに、
せめてもの償いだったんだろう。
お姉ちゃんが……出張先から
帰って来ると、
事情を、怒られるのを覚悟して
全て、話した。
お姉ちゃんは……余り
怒らなかった。
そこからが、大変になってきた。
せっちゃんが……トイレで
漏らしていたのだ。
今までも、汚れたパンツを
恥ずかしそうに。隠していた。
だけど。トイレから
立ち上がることも、出来ず。
漏らしていた。
せっちゃんの意識は、はっきり
としていた。
救急車を呼ぶしか手段が……なかった。
《せっちゃん!?救急車呼ぶから。ちょっと待ってて!?》
慌てて救急車を呼ぶと……
付き添いが必要と言われた。
私は……自分の病状を救急隊員
に話した。
お姉ちゃんが……付き添いに
なった。
《お姉ちゃん、ごめんなさい》
お姉ちゃんはテキパキと
準備して、慌てて仕事にキリを付けた。
私は……その頃、
幻聴が酷くて、発作も良く
起こしていた。
幻聴の内容は……。
《ぶっ殺す!ぶっ殺す!ぶっ殺す!死ね!死ね!ぶっ殺す!
死ね!》
という具合だった。
発作も、頭から汗が……吹き出て
指先から、全身へと
気持ちの悪い、脂汗が体中から
出て、
薬が……全く、効かなかった。
幻聴も、MAX。頭の中が……
覗かれている感覚が消えない。
発作のたびに……思った。
《明日の太陽が……拝めるかな》
と……。
介護から来る強いストレスを
発作を起こすまでに……酷かった。
救急車に運ばれて、夜遅くに
せっちゃんと、お姉ちゃんが
帰ってきた。
お姉ちゃんは……怒っていた。
その後……せっちゃんは、
おむつをはめる様になった。
朝、目が覚めると
ぼや~。とする時間がある。
下へ降りて行くと、
衝撃を受ける光景に出くわした。
せっちゃんが……。
おむつをビリビリに破っていて
全裸状態で……倒れていた。
オシッコも、至る所で……
漏らしていた。
そんな、全裸状態のせっちゃんを
見る度に……
私は……限界を知った。
運の良い事に、せっちゃんには
財産が……あった。
お姉ちゃんに話す。
もう、私無理。
特別養護老人ホームに……
入れよう。
と、決断を下した。
その答えには、誰も反対しなかった。
ケアマネージャーさんと
話しを、どんどんと進めていくと
数日後に……迎えに上がります。
と、返事が貰えた。
迎えに来る当日には…
お姉ちゃんが……せっちゃんを
シャワーに連れて行き、
後から聞いた話しだが、せっちゃんのお尻を、ペシッ!!ペシッ!!
と、叩きながら、体中を綺麗に
したそう。
特別養護老人ホームの方が、
迎えに来た。
《よろしくお願いします!》
せっちゃんは……日差しの強い中
車椅子に……押されて、
実家から、出て行った……。
せっちゃんを見送ると、
私は……ようやく、楽になれる。
と、安堵したのだった。
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