第5話 こんな事も、あったっけな。

例えば。こんな事も

あったっけな。


せっちゃんは……私が買って来ていた1週間分の食材を


勝手に、拝借しては……

おかしなおかずを作っていた。


しまいには、息子達の食材をも、

勝手に使ってしまうまでに

なってしまったのだ。



机の上に……並べられた

意味不明のおかずの数々に


私は……怒りをあらわにした。



何故なら、1週間分のおかずを

全て完璧に……組み立てて

居たからだ。



食材の一つにしても、大切なのだ。

息子達は……せっちゃんではなく

私に……キレた。



特に、長男が激怒していた。

《元通りにしてくれなきゃ。

どうしてくれるの?!!あぁ!?》


詫びるしかなかった。


せっちゃんの作るおかずは……



ただ食材を醤油で……

煮るだけ。からい。不味い。



カボチャ🎃の煮ものの時は、


さすがに……食べられたもんじゃなかった。


口に入れると、

《ゴリゴリっゴリゴリっ》

と……生のカボチャを食べて



なるべく、褒めてあげた。

【美味しいよ!せっちゃん。】


せっちゃんは……固いモノを

ご飯のおかずとして。


《ゴリゴリっゴリゴリっ》

と、当たり前の様に、すました

顔をしていたのだ。



二度と、作って欲しくない!!


食材を無断にして、さらには

自由気ままに……何度も何度も



食事をしていたのだ。


耐えられない。


遂には、私はキレた。

《せっちゃん!!この食材はね!?考えられた食材なの?!

何品作ってるの?!

ウチは、貧乏なんだから!!


昔と、違ってお金は無いんだよ?!こんなにどうするの!!》



せっちゃんのその当時の態度は

……

私をいじめて、楽しんでいた。



本人も、〇〇をいじめると

楽しいねぇ……と真剣に話していた。



怒るどころか、知らぬ顔をした。


どうせ、せっちゃんのお金は

私が握ってるし。



せっちゃんの食材ドロボウは

日増しにエスカレートしていった。



息子達の食材をドロボウして

電子レンジで……腐らす。



という事もあった。


モノ凄い異臭が家中に……

ただよっていた。


たまには。

お姉ちゃんが、料理をバトンタッチしてくれた。



だけど。すぐに無くなるので

……私はまた1週間分を



熱い日差しの中でも

雨が土砂降りでも、身体が

キツくても


自転車で……走った。



車は、免許を返納しているので


乗れない。その前に……

病気だから乗れない。


常々、自転車行動だった。


近所の人が、町内会長さんは

来年から、せっちゃんに変わるよ?と……



言いにきた。私はすかさず


《すみません。せっちゃんは

  認知症だからダメです。

ごめんなさい……。》


《じゃあ、あんたがやれば

  良いじゃない?!》


《は!!?》ムカつく!


これ以上、苦しめないで!



私は……仕方なく町内会長を

1年間やった。



しかも、介護も、全てやった。


町内会なんて、無くなれば良いのに⚡⚡⚡🌋


私は……町内会は……おばあちゃんや、おじいちゃんの

暇つぶしと、思える。


ホントに……バカっぽい!



しばらくすると……

近所の面倒見のいい、せっちゃんよりも、年上で……


チャキチャキのおばあちゃんが

やって来た。


《認知症には……世間話するのが

ええんやと?!せっちゃん!!

みんなと、喫茶店行かないか?迎えに来るから。》



せっちゃんは……当時

理解出来てなかったらしく、



《結婚しなきゃ行けないの?》

と……頭が働いてなかった。



何処を、どうしたら結婚という

解釈に、なるのか??



私は……

《結婚じゃないから。

コーヒー飲みに行くだけだから。

行っておいで。

お金は、何とかするから。》



また一つ仕事が増えた。


それは、コーヒーチケットを

自転車を走らせて買いに

行かなければ、ならない事だ。



私は……毎日が疲れのピーク

だった。


ドクターストップなんて

なんの役にも立たない!


町内会長と、喫茶店と、

買い物と、料理と、病院のハシゴ。



隣人は……キチガイだし。

私は……毎日毎日、



消去法で……全てをこなしていた。


せっちゃんは……そのうち



デイサービスも開始した。

これも、近所のおばあちゃんの

おかげ。


その、おばあちゃんは……

毎日毎日、ゆで卵をくれた。



《ありがとうございます!》

と、御礼を伝えた。


近所のおばあちゃんは……

何かと、協力してくれた。


自分も、足が悪いのに。



せっちゃん行くよ~。と元気いっぱいで……迎えに来ていた。


せっちゃんが、喫茶店へと

行っている時間は、つかの間の

寝る時間に充てた。




帰って来ると……上機嫌なのは

最初だけで



次第に、喫茶店へと行きたがらなくなった。


デイサービスも、



よくて半年間だった。


半年間が過ぎると……行きたがらなくなってしまうのだった。




私は……仕方なく、せっちゃんを

買い物へと誘う。



自転車で向かって行くと……



久しぶりのたくさんの商品に

せっちゃんは………

目をキラキラ✨させながら、



楽しそうに、興奮していた。



たくさんの商品を見て、

せっちゃんは……数点選び……



あっという間の楽しい時間が

終わった。



数回、スーパーマーケットでの

楽しい時間を過ごした。



だが。神は、また私に……

試練を与えてきた。



せっちゃんが、自転車から

落ちて、転んだのだ。


《うわ、、、マジか?!》


慌てて、病院へ連れて行くと



先生に……最終告知される。


《1週間ずっと、冷やし続けて

下さい!!夜中もです!!》



私の、24時間介護が

幕を開けた。




私は……何故か??気合いが

入った。




~責任を取らなくてはいけない~





お風呂タイム、

食事を食べさせながら、



また、せっちゃんの横に布団を

敷いて



覚悟決める介護が始まった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る