第2話 1番最初は……

せっちゃんが、1番最初に

自分で……異変に気が付いた

のは、70歳くらいでした。


《モノ忘れが、酷い。》

せっちゃんは……慌てて病院

へ予約を入れて、病院へ

向かった。



最初の方は、それこそ自分で

薬の管理や、食事の支度を


率先してやっていた。


だけど。日を追うごとに、

だんだんと、近所にある

お肉屋さんの、1個50円の


コロッケを数個買い、卵焼きを

作り、


毎日毎日、

そんな粗食事をしていた。


当然。脳内にも

栄養素が行き渡らず……


遂には、家族同伴で病院に来て

下さい。


と烙印を押されたのだった。


その時のせっちゃんは……


《訳が分からない。どうして?》


という……表情を浮かべていた。



本人としても、ショックだった

んだろう。


病院に同伴出来る人間……。


必然的に私になった。


私も、自分の病気があったが


せっちゃんの先生にも

私の病気の、事情を話した。



ある日、病院で……せっちゃんは


簡単な検査を受けた。

幾つかの絵を記憶出来るか?

とか、


今日は何月何日とか、

絵の内容を理解出来ていた。



ドアの外から、せっちゃんの

元気よく、答える声が

聞こえる。


プライドも、へったくれも

無いなぁ……。と私は思った。



その検査の帰り道、

せっちゃんは……やはりか?

怒っていた。



《わたしは、幼稚園児じゃないのに?!》


《分かるよ!?分かるけど。

検査は、必要なんだよ?!

お母さん。美味しいパン🍞買ってあげるから。ね?!》



《これからも、こんなバカに

された様なことは……わたしは

  いやだ?!!》



病院に併設してある、

焼きたてのパン🍞を幾つか


せっちゃんに選ばせた。



せっちゃんは……パン🍞を

見て、少し躊躇していた。



《ど……どれが、いいの??》


《好きなモノ選んで?

  お金は払うから。》



せっちゃんは……甘そうな

パン🍞を幾つか選び……


子供の様に、食べるのが

待ちきれない。という感じだった。




支払いを済ますと、


せっちゃんは……帰り道に

私に、言った。



《悪いな。〇〇。》


《良いよ?暇だし。気にしないで》



甘そうな良い香りのパン🍞を

持ちながら、私は……思った。




【今後が大変だ!どうしよう?

せっちゃんの病院の付き添い

なんて、しんどくて……




わたしは、入院しない程度に

介護していかなきゃな……。】



と……これから起こる未来が



暗雲の如く、暗いモノになると


恐れていた。

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