ゆりかごのせっちゃん

たから聖

第1話 ~プロローグ~ゆりかごのせっちゃん。

私の母へ……。



ゆりかごのせっちゃん。とは、

私が、母を介護した話しを

書こうと、いつしかイメージが

出来ていた。


母。せっちゃんは……いつも

明るくて、太陽の様な母だった。



これは……母。勢津子の

激動の物語で……ある。



伊勢湾台風、東海豪雨、

地震、借金の肩代わり。


又は。関係の無い義理の兄弟姉妹の世話。


『こんなに苦しい想いを

  してまで、なんで?』



せっちゃんは……笑っていて

答えを言わない。



花が似合うせっちゃん。


私に、微笑みかけてくれる。




いつも、いつも

せっちゃんは、私の近くに居た。



せっちゃんは……美空ひばりが

大好きで……

カラオケボックスで

美空ひばりを歌っていた。



せっちゃんの声は、

ハイトーンボイス。意外。



亡き父は……せっちゃんに

尽くしていた。



せっちゃんと亡き父は……


クリスマスに、旅館へ……

お泊まりデート。



良かったね?せっちゃん。




私も、せっちゃんを介護して

居ると



せっちゃんに尽くしたくなる

気持ちが



痛い位分かるよ!?

ホントだよ。せっちゃんは……




花の精霊に、なって

天国へ向かったね?



お父さんと、ようやく手を

繋げるね。




別れは、新しい出逢いを生み出す。



せっちゃんにとって、



出逢いは……亡き父だったんだね?




自分が自分じゃ無くなる。

《悔しい。悔しい。》



と……良く泣いていた

せっちゃん。




私は……ありのままの

せっちゃんが、大好きでした。

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