草しか生えない

うちの下流にはラジオで中洲が

出来上がり、鳥や魚、銭湯帰りの

宇宙人と草生やすTwitter民たちが

とりとめなく、山羊が草を食む


ラジオが

レイディオになり

RADIOと呼ばれ

なんだかわからない

歌が溶けあって

中洲で睡る怪獣を

スケッチする子ども

夏には盆踊りで

錯視だから消えた

火星の運河も

この流れに連なる

なんだってあるんだ

山羊は紙について

セルロースと

ヘミセルロースと

リグニン、で

出来ているという


パピルスパピルスパピルス、と

三回言えば……どうなるんだっけ

田中とヤギくんどうしてるかな


僕らは最初、糸電話からはじめた

切れた糸をヤギが食べちゃったんだ

田中と二人でハガキ職人をしていた

宇宙人みたいな彼女が嫌いでした


呟けば草が

生える火星の

運河を夢みて

眠りを忘れた

怪獣だった


ラジオから滲み流れる綺麗な声、

錯視です錯覚です、だから流して、

田中が残した糸でひとりあやとり、


  何が変わったかわかるかい?

  わかんないから明日があるんだよ

  エジプトの神聖な文字でも、

  今、俺たちが呟いている文字でも、


なんもかわんないから繰り返して、

パピルスと Papyrusと ぱぴるす、生きてる

終わるまで息してる、てってれー ( 祝福します )


   指にまいた糸をたなびかせて

  無線通信機、つながらないままがいい

  秘密を書いてまるめて捨て去れ


中洲のゴミみたいに、密やかに草が生える

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