第19話 北斗の拳 雲のジュウザ
南斗五車星、最強の男。若かりし頃、ラオウの師であるリュウケンに天武の才があると言われた。彼の拳法は師を持たない独自の拳であるが故、読みにくい。攻めには強いが、守りに弱いという弱点はある。その為、ラオウのような強さを前に出して来る相手に対しては、本領発揮は出来ない。ジュウザの必殺拳である撃壁背水掌は間合いが狭い為、確か己に油か何かを塗って射程に入り、必殺技を決めたが、ラオウには浅かった。
独自の拳法はそういう弱点がある。読まれれば終わる。だから攻め続けるのが理想ではあるが、ラオウの強靭な肉体に対して、仮に全力で攻めたとしても、歴戦のラオウを倒す事は不可能であったであろう。
ラオウを倒せる可能性があった人物は、病に侵されてないトキ、ジュウザ、ケンシロウ、リュウケン、ファルコ。「修羅の国編を除く」
相手がラオウ以外ならジュウザに勝てる人物は、ケンシロウでも苦戦を強いられるのは確実である。体系も同じくらいである為、攻めやすいのが理由だ。病に侵されていないトキでさえ苦戦を強い得た可能性は高かった。まだ若い頃から、その才能はリュウケンが見抜いていた事から、そう推察できる。
ジュウザは師を持たないで、才能だけで強くなった。そして戦いとは私情の内容にもよるが、それにより大幅に強弱する。これは私たちにも言えることだ。
例えば守りたい人がいれば、命を懸けて守る。人間とはそういった精神的な事で強さだけでなく、アスリートや格闘家なども変化する。
ラオウが認めていた数少ない人物の、ひとりであったジュウザは、丁重に葬るようラオウは部下に命じた。ジュウザとの戦いでは、ラオウの普段は見せない一面を見せている。それは彼の事を認めているという意味にもなる。
ラオウ本人が自覚を持って、ジュウザを認めていた。だからこそ南斗最後の将がユリア以外にいないとラオウは知った。これはラオウが、ジュウザの本質を見抜いていたと言える。彼が認める、数少ないひとりであったジュウザは、自分とは全く正反対に近い性格であったが、北斗の拳の世界では強さが何よりも求められるのに対して、ラオウが感傷的になった数少ない人物であったと言えるだろう。
黒王号に背中が許されたのは、ラオウ、ケンシロウ、ジュウザだけである。その点から見ても相当な実力者である事が分かる。
北斗の拳では多くのキャラクターが出て来るが、ラオウに強く絡むキャラクターは非常に少ない。ラオウの相手にならないのが一番の理由だ。ラオウ自身も口数は基本少ない。しかしジュウザに対しては、昔の思い出や、ユリアだとバレていても、それを口にしないまま死んだ。ラオウはジュウザ以外にでも自分に抵抗する者に対して敬意のようなものを払う場面が見られる。時間稼ぎに、南斗最後の将の恰好をさせた海のリハクの娘トウに愛を告げられたが、ラオウはユリアを選んだ。トウはラオウの足に刺さっていたナイフを引き抜くと、自殺した。その自殺したトウにラオウは、欲しいなら、自分を刺せばいいと死後であるが、トウに向けて言った。他にも無抵抗の村に対して、その村の村長が我々は抵抗しないのが武器ですとラオウに言った。ラオウは少年を掴み上げると、少年は震えながら笑った。ラオウはその村の村長を殺し、抵抗しないのが武器だという言葉に怒りを覚えた。
それはラオウはリュウケンに立てない程の修業を日々つけられていた。そして力無き正義は無いと、それが現実だと若くして悟った。何も誰からも教えられず、ラオウに膝をつかせたジュウザは、色々な意味でラオウは認めていた事がよく分かる。
ラオウは血を吐く程、日々修業していた。そして強さのピークに近いほどまでになったラオウに対して、技を使わせるほど射程に入られ、必殺拳を入れられた。
リュウケンの言う通り、天武の才の持主だった事はここまででも十分に分かるはずだ。もし、師がいて何かを習っていたらと考えると、トキと並ぶほどの実力者になっていただろう。
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