第5話 喧嘩稼業 古武術 入江文学

 この漫画は私は非常に好きであり、前作であった喧嘩商売の続編にあたる。

前作に登場した魅力あるキャラクターたちが、相まみえる事無く、主人公はいるが、簡単に言えば、富樫氏のハンターハンターのように、主人公以外にも大きくスポットを当てている作品である。そして喧嘩稼業は、その相まみえる事が無かった格闘家たちをある男がトーナメントを開き、武器は無しルールだが、タオルを投げないで死も認められている非常に命を懸けた実戦がルールである。


このトーナメントの面白みのひとつにあるのが、陰と陽のキャラクターたちの戦いでもある。陽は、格闘家でも命を懸けた事は無いような人物たちで、陰とは命を懸けた戦いの経験者や命のやり取りに対して、躊躇ちゅうちょなく殺しの業を使う人たちである。これらの陰と陽の戦いも非常に面白く、作者も相当格闘技に詳しいので、戦いの駆け引きや実戦的な戦いを、無駄に長引かせる事無く、スピード感、攻撃に対する考え等を戦いつつも、言葉数も丁度よい程度で上手くまとめられている。


今回はそのトーナメントにも出場していて、喧嘩商売から出て来ていた主人公の師匠でもある「古武術 富田流 入江文学」にスポットを当てて紹介していく。


入江文学は三十代で童貞だったと思う。そして彼の富田流は一子相伝であるため、主人公にもう結婚は無理じゃないのか? などのギャグ的なセンスも私は好きなのであるが、前作の喧嘩商売ではそう言ったお笑いも多く交えていたが、今作の喧嘩稼業はお笑いは非常に控えめにしている。それは命懸けの戦いであるだからであろうと思う。


ネタバレは無しで紹介を進める。その為、前作である喧嘩商売の話にも多く触れることになるだろう。


入江文学が幼い頃、両親は離婚した。文学は父親と暮らしたいといい、一子相伝の古武術を会得した。そして今回のトーナメントを開いたのは、田島彬という人物であり

喧嘩だけでなく格闘家としても強い男だ。


ここで今の草食系男子たちの為に、喧嘩というものを教えておこうと思う。

私は以前にも書いたが、父親は空手をしていて、私と弟は、喧嘩のライバルに近い関係であった。喧嘩を知らない人は今の時代多いだろう。実際の話、格闘技をやっていても、喧嘩が弱い人間は多数いる。


陰と陽のように、喧嘩は命懸けでの戦いである為、躊躇ちゅうちょなく致命的な場所への攻撃も本当に、一切の躊躇いはない。これが喧嘩で強い奴の一番の特徴である。私は父親の唯一の教育に近いものが喧嘩であった。その為、家でもよく喧嘩をしたし、金持ちだからと目をつけられ喧嘩をしたことも度々あった。


喧嘩は18歳くらいまでしていたが、それくらい卒業した。それ以後、人を殴る機会は何度かあったが、殴る事は無かった。20代の頃、同じ中学校だった奴が、殴りかかってきたが、条件反射で掴みかかってきた手を横に流して、寸止めで殴らなかった。私の弟は強かった。というよりは怖かった。それは躊躇いが一切ないからであった。まさしく、私を殺す気で致命傷への攻撃に一切の躊躇いは無かった。私もそれなりに強かった。三人程度なら同時に倒せるほどであったが、弟はそれ以上に強かった。


喧嘩とはそういうものである。格闘家と違う点である。スポーツでは無く、命を懸けてはいるが、それ以上に相手の命を取れる奴が喧嘩の世界では強い。


トーナメントの主催者である田島彬は、入江文学の父が怪我を負っている時に奇襲し、昏睡状態にさせた。そして病院で死ぬ前に、息子に対して父親として接する事が苦手だった父親が初めて言葉にして言った。「残ってくれてありがとね」とそれは幼い時の事のお礼であった。鍛え抜かれた体は骨と皮だけな程までに衰弱し、最後に父親に対して、入江文学は「必ず仇を取ることを伝えた」そして、父親は死んだ。


彼以外もそれぞれ想いがあってトーナメントに出場しているが、入江文学はトーナメント優勝者は、田島彬との試合が組まれていた。だから彼は命を本当に捨ててでもその無念の想いを乗せて戦いに臨む覚悟をしている。


喧嘩だけでは無く、何事も経験しなければ分からない。喧嘩はそう言った意味では、人を本気で殴れるか? が問題になる。試合とかではないルール無用の本当に死ぬかもしれないのが、本当の喧嘩だ。私は幾度か弟に、殺されかけた。本当に運よく死ななかっただけで、後数ミリ違えば死んでいた状況は何度かあった。


入江文学は殺しができる人間だ。これは喧嘩が強いという事になる。そして彼は実際に強い男だ。今年に入り、電車内での事件が相次いで起きたが、喧嘩を知っている人間は、誰もいなかったという事になる。動画をみてそれはすぐに分かる程、弱い人間たちであった。


何事もそうだが、一応経験しておいたほうがいい。だから若い時に多少の事は経験しておいたほうがいいのだ。それは多くの人が言っている。私は格闘技も習わされていた。もしもに備えて色々な事を学ばされた。


だから入江文学の覚悟が分かる。喧嘩をしたことが無い人でも楽しめるように描かれているが、命を懸ける覚悟に関しては、経験していないと分からないことだろう。


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