第2話 幻聴

女子と授業を受ける。これは、約3年ぶりに解禁される超特大イベントだった!


初めの三日はオリエンテーション期間だが、それもまあ、授業みたいなもんだろう。


昨日、こんちはー。と話しかけてきた女子にまた、話しかけられた。


「今日、自己紹介やるらしいよ。言うこときめた?」


「まあ、ある程度は決めた。」


「ある程度ってなんだよw」

 小声で自分にツッコんでいた。

 やっぱり女子と話すと、コミュ障が発動する。


「どうしたの?」


やっべ。聞こえてたか?


「いやー、なんでもないよー。大丈夫ー。」


すごい棒だな。自分で思った。


「あれっ?私の勘違いかな。ごめん。」


【セーーーーーーーフ】


こんなこと言ってるのがバレたら大変だ。

噂によく聞く女子だけのLINEグループに、この情報を流される。

 ↓

小声で変なこと言ってるやばいやつ認定を女子全員される。

 ↓

登校2日目から話せる女子が0人になる。


それだけは、勘弁だよ。


自己紹介が始まった。

女子の自己紹介はしっかりと頭の中に入っていったが、男子の方は、右耳から聞いて左耳から出ていった。


「私、森山果歩。

 福岡から転校してきました。

 走ることが好き。

 陸上部入ります。

 東京わからんけんよろしくお願いします。」


来たか?


来たよな?


彼女は、要所、要所少しずつ訛っていた。


これが方言女子ってやつか?


キターーーーー!!!


やっぱ、方言最高。

福岡からってことは、博多弁か。

博多弁可愛いすぎだろ。

ってか、超絶美人じゃん。

なんでこんな可愛い子に気付かなかったんだろうか?


下心しかないが、俺もマジで陸上部入ったろうかな?

もちろん僕に陸上経験なんてない。


自己紹介が終わった。

僕が、気になったのは彼女だけである。


自分で言うのもなんだが、


『男子校生は理想が高い。』


男子校生は女子なら誰でも行けるとか言われることが多々あるが、それはまったくをもって逆。


男子校生が見る女子。

それは大体、女優かインフルエンサーその辺に限られてくる。

美人しか見ていない僕たちの理想は、どんどん高くなっていく!


しかし、僕たちは3年間親以外の女子とは殆ど話していない。


そう。男子校生は『雄大な妄想』しかできない。


そんなどうでもいいことに頭をフル回転させて妄想していたら、どうでもいい教師の話は案外すぐに終わった気がした。






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