第12話 過去

どうもアキラです。俺は今、皿洗いをしています。何故かって?リリがいないからである。リリが昨日行くとこがあるって言い、朝からいません。することがありません。そんなこんなで二時間くらい同じ皿を洗ってる気がする。

すると、ドアが開いた。リリが帰ってきたのだろう

アキラ「お帰り」

俺が迎えると、リリは少し焦った様子で

リリ「アキラ、剣が使えるって本当?」

ん?何?俺が剣が使える?なぜそんな話に?質問の意図がつかめない。しかも、焦っていると思ったリリは少し怒っているような、、、。

アキラ「意味が分からないんだけど、、、」

リリ「トシヤさんから聞いたの、アキラの剣術はすごいって」

トシヤさん?あいつ何を吹き込みやがった。

アキラ「それは、、、」

俺は弁明をしようとすると

リリ「嘘はつかないでよ」

リリにジト目で見られ釘を刺された。嘘をつくって見破られている。

仕方ない、本当の事を話すとしよう。

アキラ「わかったよ」

あれは、俺たちが冒険者になって初めてのクエストに行った時の事だ。あの時は、緊張して一歩一歩踏みしめながらギルドに入ったのを覚えている。

アキラ「一番初めに行ったクエストを覚えているか?」

リリ「ゴブリンの討伐でしょ、覚えているよ」

ゴブリンは比較的狩りやすいから初陣にちょうどいいと思ったからそれにした。

しかし、そこでアクシデントが起きた。

ゴブリンキングが出たんだ。

リリ「ちょっと待って、それは私の記憶にない」

リリはすこし驚いている。

アキラ「その辺も話すよ」

俺は話をつづけた。

所詮はゴブリンだと舐めていた。それで、俺たちはボコボコにされた。

俺とリリは剣で一生懸命戦ったんだがな。

リリに至っては正直、死ぬぐらいの状態になっていた。しかも、その原因は俺を庇った事による一撃だった。その頃は、魔法剣士をしていたよ。考える事が多かったんだろうな。敵に不覚を取った。

そう、俺はリリを守るとか言っときながらリリに守られてしまった。それと同時に剣ではリリの事が守れないことが分かった。だから、剣を封印した。

リリ「ゴブリンキングはどうなったの?」

そうだな、この話し方だと、説明が足りないな。

ゴブリンキングはわからない。俺もリリが気を失った時、意識が飛び起きた時には地面に穴が開いていて、その穴の近くにゴブリンキングが持っていた棍棒が落ちていた。そして、俺はリリの傷を治し、記憶をいじった。俺が剣が使えるという記憶を

リリ「どうして?」

そんなの簡単だ。リリなら多分守れなかった事を気にしないでって言ってくれる、リリは優しいからきっと励ましてくれる。俺はそれが許せない。自分のミスを許せないんだ。

まぁ、簡単に言うと自分勝手だからだ。

アキラ「こんなもんかな?」

俺はすべて話終わった、リリは少し考えているようだ。そして、俺を抱きしめた。

アキラ「えっ?」

俺には理解ができなかった。何故、抱きしめる。

リリ「ごめんね、アキラ」

リリは泣いているようだ。

アキラ「なんで?悪いのは全部俺だ」

リリ「違うの、私も性格がアキラを苦しめたなんて」

意味が分からない、すべて俺がやったことなのに

リリ「確かに、今の話を聞いていると確かに私はそんな感じの返答をすると思う。でも、逆にそれがアキラを傷つけるとは思ってなかった」

リリの抱きしめる力が強くなる。

リリ「だから、ごめんね」

そんな、、、そんな事

アキラ「俺もごめんな。ずっと、リリに相談すればよかったのにこんな事になってしまって、ごめんな」

俺たちはしばらくお互いに抱きしめあい泣きわめいた。

それは、夜になってようやく収まった。

アキラ「もう、、、寝ようか、、、」

俺は泣き止み外の状況を確認し寝る事を提案した。

リリ「今日は一緒に寝ていい?」

アキラ「うん」

俺たちは無言でベットに入った。そして、俺の心は少し暖かった。過去から解き放たれたからだろうか?

リリ「私はいつでも、、、アキラの味方だから」

リリが声をかけてきたので見ると寝息を立てている、寝言とは言えとてもうれしい

アキラ「ありがとう、リリ大好きだよ」

そう言い俺も寝る事にした。リリは少し嬉しそうに見える。

そして、俺の意識は闇に落ちた。

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