レインサーペント対策と新たな仲間
命からがらサプライトハウスの港に逃げ帰ることが出来た僕達。
そのまま海運ギルドとハンターギルドに報告した。すると『できれば討伐して欲しい』とのことだった。
「普通、討伐依頼を出すのでは?」
「そうなんだけどな、魔物ハンターの大半は陸上での活動を行っているのが大半で、俺らみたく水辺で戦えるハンターは少ないんだ」
「だからすぐ動けるあたし達しかいないってわけ。とりあえずやってみて、ダメだったら本格的に討伐隊を全国から集めて組織する流れだと思う」
要するに、海で戦える人材が少ないから僕達で対処して欲しい。
なんとも厄介なのだが――逆に考えれば、これはポイント獲得のチャンスだ。上手く討伐できれば、船の強化が出来る。
「そういえば、準備をすればレインサーペントを倒せるという話でしたが……何か考えがあるのですか?」
「ああ。実はレインサーペントはな、雨雲を引き寄せはするけれど操ることは出来ないんだ。そこが、レインサーペント攻略の鍵になる」
そうだったのか。雨雲を引き寄せられると聞いていたから天気をコントロールできるかと思ったけど、そうじゃないんだな。
ついで言うと、魔力を持ってはいるが魔法を使うことは出来ないらしい。そのため、攻撃方法もあの巨体を生かした体当たりやかみつきしか手段がないそうだ。
「それでね、一番良い方法は引き寄せられた雨雲を逆に利用することなんだけど……」
「どうしたんですか、ジェニーさん?」
「その雨雲を利用できる能力がある知り合いがいて、その人を呼び寄せるつもりなんだけど……ソロで活動しているし、今いる場所によっては協力してもらえないかも……。一応、ハンターギルドに問い合わせて連絡は取ってみるから」
そして、アルフさんとジェニーさんはハンターギルドに向かい、その知り合いの滞在場所の問い合わせと通信魔道具を使って連絡を試みた。
そして1時間後。
「俺ら運がいいぞ、船長! 知り合いがここから歩いて3日の町にいた。連絡も取れて、すぐこっちに来てくれるそうだ!!」
よし、これは幸先が良い。
すぐ向かうと言っても3日は掛かるはずなので、次の戦いに向けて船の準備をしなければ。
そして3日後。
ヘーゲル号の甲板に、アルフさんとジェニーさん、そして右手の人差し指に琥珀の指輪を付けた少女がいた。
「紹介するよ、船長。彼女はアンバー。基本的にソロで活動している魔物ハンターだが、たまに俺達の助っ人にも入ってくれている」
「……よろしく」
口数が少なく、クールな印象だ。
年齢は13歳とアルフさん、ジェニーさんと比べて一番年下だ。
この年齢でありながら単独でハンターとして活動し、しかも成果を上げていてハンターギルド内では超有望株という評価が付いているらしい。
「よろしくお願いします。ところで、レインサーペント討伐に向けて何か作戦が?」
「……これを使う」
アンバーさんが装着している指輪を見せると、バチバチと雷光が走った。
「雷魔法ですか」
アンバーさんは雷魔法の使い手だったのだ。
そして琥珀の指輪はアンバーさんのスタチューが変形した物。魔法の才能を持つ人は、大抵変形させたスタチューを魔法の媒体として使い、魔法の威力調整や増幅に使うらしい。いわば魔法の杖の様な物だ。
アンバーさんの場合は指輪型にしていると。
「後はあたしが注目を引きつけつつ、アルフの能力で補助を行えば良いってわけ」
「なるほど。では、準備が整ったら出航しましょうか」
全員いつでも行けるとの事だったので、出航しようとした。
するとここで、アンバーさんが。
「船室はどこ?」
「そこのマストの扉を開いて階段を降りると、食堂があります。あとは船長室と船倉しかないので寛げるかどうかはわかりませんが」
「それでいい。出番になったら教えて」
そしてアンバーさんは、食堂へ降りていった。
「ごめんね。アンバーは体力を温存しておくタイプだから。別にやる気がないとかじゃ……」
「いえ。特にサプライトハウスに来たばかりなんです。それに、体力を温存するのは戦略として間違っていないと思いますし」
ちょっとマイペースな人だとは思うが。
とにかく、僕達はレインサーペントへのリベンジを果たしに、再び出航した。
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