モノクローム

抹歩沙來

御園凛

 私の中に色は無い。

 いつからかなどは一切記憶になく、ただ白と黒の濃淡のみが私を構成する。

 一年前私の心は色彩に満ち、活力にあふれていたが、理想と現実の乖離。例えば夢に向かって着実に歩を進める同級生や先輩との違いに早くはないが着実に心を齧られていった。



 御園凛は、小中一貫校である白樺小中一貫学校に通っている中学一年だ。

 白樺小中一貫学校には高等部がないため、全員が高校受験をしなければならない。また、白樺の学生8割は、親が医者や政治家、経営者という、ザ・お坊ちゃま、お嬢様学校であり、必然親から求められているものが大きい。また、残りの2割も、たいてい特待生をとった一般家庭の生徒であるため、総じて学力が高く、小学部から高校受験に向けた学習を進めるため、有名高校への高い合格実績を上げている。

 御園凛は前者にあたり、実際彼女の父親は御園総合病院の医院長で、凛の母親ともその病院の中で知り合った。

 凛の父親である清一は、世間一般の「医院長」に対するイメージからかけ離れた温和な人間だ。

 凛はそんな性格で病院をまとめられるのかと思うが、彼女の母親の菜々実は、彼のそんなところに惹かれたのだと凛が5歳のときに教えてくれた。

 白樺にも部活動なるものがあり、凛は陸上部に所属している。もともと少し運動が得意だったのもあるが、小学部一年からの友達である鈴木奈緒と一緒の部に入りたかったのが大きい。

 部の先輩は、とても後輩に優しく、凛は先輩にとてもなついて、練習をしに部活へ行くというよりは、先輩と話に行っているというイメージの方が強かった。

 

 


 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

モノクローム 抹歩沙來 @ma2ho

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る