第28話 最上階

 処理完了。ゴキブリの時と同じようなシーンが続くからバッサリカット。ゴキブリより機動力がない分攻撃性能が高いのだろうが、針じゃあ闇を貫けない。

 数も今さっきのゴキブリよりは少なかったがかなりの数がいた。壁一面に巨大な巣があり、そこから出てきたのだと思う。女王蜂らしきやつも全部まとめてすりつぶし、蜂の巣のかけらもない、この階層のモンスターは全て殺せたか。

「はい、戦闘終わりました。探索しましょう」




 馬鹿みたいに何もなかった空間を探索して、1時間。下の階層より空間が広くなっているらしい。そして階段も見つかった。

「で、この階段ですか」

「怪しい」

「罠って感じがするんだけどな。一二三さん、上に繋がっているんだよね」

『繋がっているわよ。私の目にはそう映っているわ』

 僕たちの目の前には先ほどまでのような螺旋階段ではなく、やけに豪壮な模様が描いてある石の階段がある。5階が最上層で、さらに変動型ダンジョンと来たものだ。何か仕掛けがあるかと疑う。が、一二三さんからは特に罠も何も見えないらしい。

「キララ、行けるか?」

 まずは、生半可なことじゃあ傷がつかないキララに先を行かせる。

「まっかせなさ〜い」

 まだまだ元気が溢れてるキララがスキップしながら進んでいき、闇の中に消えてった。




「特に無かったな」

「そうだね、なにもなかったよ〜」

 何事もなかったようにキララが帰ってきたので、安全だと判断したので現在階段を登っている最中である。

「これ構造的にどうなっているんだ」

「設計図を見てみると途中で折り返すように階段ができてるようですね」

 上にいくにつれてどんどん自然由来のものが消えていく。

 蔦、苔、壁から所々見えていた緑色はもう見えない。折り返す部分までやって来た。もう周囲は闇しか見当たらない。周りにはなにもなく、足元の階段を歩く感覚もおぼつかない、ダンジョンが動いているのだろうか。

「ついた〜」

 5階につく。

 今さっきまでの暗闇しかない空間ではなく、逆に全てを見渡せる。照明はどこにも見当たらないのに、なぜか明るい空間。

「探索しやすい」

「中央に何かあるな」

 床は一面石畳。壁は全てが石レンガ。今まで中央にあった柱は無く、代わりに紫色の魔法陣が描かれている。

「”メシア”か」

「まほうじんけしておく?」

「いや、本部の仲間に任す」

「……メシアの仕業でしたか。こんなところにも出没するんですね」

 ここ数年で急速に発展を遂げている新興宗教【メシア】。一神教であり、彼方から飛来する神が我らを助けてくれるだろう、を謳い文句にして各地で暗躍している邪教だ。 

 そして、この世界にダンジョンが出現した原因でもある。

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