第27話 骨
「うわ、これって人骨ですか?」
「そうじゃないかな。峨々、支部長に連絡してくれ」
「了解」
「このほねって、だれのだろう」
「3階まで救助隊が来れないと思うから、元々中にいた一般人のものだろうな」
「喰われたんですか……」
「そうじゃないかな。ゴキブリって人の肉喰うのか?」
「雑食じゃないんですかね」
まだ、骨だけ見つかったのは御の字だ。頭蓋骨が4つ。大きいのと、小さいものが2つずつあり、その他人骨が集まっている。メガロタワーにやってきた家族の亡骸だろうか。
「黒宮、これからどうする」
峨々が連絡をし終わったようだ。
「支部長はなんて言ってた」
「骨を持ち帰れ、と」
「そうか」
沈黙。辺りが闇1色というのもあり、重たい雰囲気が僕たちの間に流れる。
「とりあえず休憩だ。後輩ちゃん、今何時?」
「だいたい12時回ってますね」
結構いいペースで攻略出来てる。このダンジョンが入り組んでなく、だだっ広い空間に自然が生えたという単純な構造をしている事も、約4時間でここまで探索出来た要因の一つだろう。
このダンジョンのようなだだっ広い空間があるものは滅多になく、僕自身も似た構造のダンジョンを1度しか探索したことがない。
「飯を食うぞ」
「わたしはみまわりしておくね〜」
「先輩、まじっすか。骨を見たあとによく食欲が湧きますね」
「何言ってんだ、峨々を見てみろ。黙々と食べてるぞ」
僕の鞄の中から栄養食品を取り出している峨々。いつの間にかどっかに行っているキララ。未だに骨があったことに対してのショックが残っている後輩ちゃん。
「今日中には探索を終わらせたいな」
飯を食い終わった。やっぱり栄養食品なので簡単に時間をかけずに食べれる。後輩ちゃんも1回現実の方に戻って昼飯を食ったそうだ(あまり胃に入らなかったそうだが)。
「このダンジョンは5階構造だ。4階に続く階段はもう見つかっているので、早めに4階を制圧、探索をして、5階へ向かう階段に辿り着く。一二三さんによると5階へと続く階段はあるそうなので、早めに、襲ってくるモンスター達を全滅させる」
キララを先頭に4階へと向かう階段を見つけ、登る。景色(暗くてよく見えないが)は変わらず、蔦が天井にぶら下がっている。
4階。特に変化はなく、先程と同じ光景だ。1点だけ違うところをあげるのなら、僕たちに向かって蜂の軍勢がやってきてることだろう。
「歓迎が激しいな」
「黒宮、きちんと処理しろよ。これだけの数はキララで処理ができん」
「分かってる」
僕の周囲の闇も津波のように蜂たちに襲いかかる。
結構な数がいるから逃がさないようにしないとな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます