第17話 慌ただしい
「出自がどこか関係なくただの少女なんですから、餓死をしないなんてことはありませんよ」
後輩ちゃんは優しいな。
「ただの少女かはわからないがな」
「攻撃をしてこなかったんですよね、安全じゃないですか」
「それだけで安全と判断するのは良くないぞ、何かが擬態しているかもしれない」
そう言うモンスターもいる。悪い異世界人が少女に擬態をしているだけかもしれない。
「知りませんよ、先輩たちが異世界人と判断したんでしょう。今度この子が起きたら何か食わしますからね」
と、強く言われた。危険かもしれないがこの少女を世話をするらしい。後輩ちゃんの優しさが裏目に出るかもしれない。
「先輩が、子供を預かることになったって、世話をするという意味じゃなくて、文字通りのことなんですか」
だが、世話する時間はないだろうな。
「そうだな。あと明日にはその少女に迎えがくるから」
「え?迎えが来るんですか?」
「そりゃあ、いくら僕に信頼があるからってずっと預けるわけじゃないだろ。1日だけだ」
「え?じゃあご飯をあげれない?」
「夜中には目を覚ますだろ」
「私に夜更かしをしろってことですか、夜更かしはお肌の天敵ですよ」
そう言いながらキッチンに向かう後輩ちゃん。僕迎えに出た時から料理を作っていた感じ。
「後輩ちゃん、まだ言うことがあるわ」
「何ですか、今日面倒ごとを引き連れすぎでしょ。先輩」
「まぁな、これが主人公補正ってやつか」
「先輩が主人公って、過去編入るとR18グロで規制が入るので絶対違いますね」
「今日の僕に対しての当たり強くない?」
「たくさんの情報を持ってきたからですよ!この子と、過去回想に出てきた、メガロタワーのダンジョンと、あとなんか一つ。先輩名なんですか、フラグの百鬼夜行でもしてるんですか!!!」
「いや、二つだぞ」
「多すぎでしょ!?」
そんな妖怪を見るような目をされても僕にどうすることもできない。文句があるなら世界に愚痴れ。
「一つ、新しくできたダンジョンの探索に僕も同行することになった。二つ、後輩ちゃんには通信役をしてもらうそうだ」
「うげっ、マジですか。いいですけど、報酬はどれぐらいですって?」
嫌そうな表情をして聞いてくる。
「だいたい100万前後」
「うーん、その仕事って期間が長いですよね。上も財政難なのかな」
「最近はモンスターの被害が増えてきたからな、僕もこの前町中でモンスターと遭遇したし」
ダンジョンによって家を失ったり、モンスターによって家族を失ったりした人に手当とかを寄越してるんだろう。特に最近は被害が酷くなっている。
「わたしのように戦闘能力を持たない人たちが危険なんです。話は変わりますがこの子は異世界人なんですよね。もしかしたら町中で異世界人と遭遇するかもしれませんよ」
「そんなゲームみたいにひょいひょい遭遇してたまるか。あとこの少女がダンジョン内にいた理由も不明だから他に異世界人がいる可能性はわかんない」
「それは不思議ですよね、原因とかは?」
「昨日の夜にかけて探索したらしいが不明だとさ。あのダンジョンには何も不思議なことがなかったらしい」
具体的にいつもと同じような状況だった。
「あ、今回の依頼者はどうなったんですか?話に紗枝っていう女性が出てきただけで終わったんですが」
「笹目さんたちね。色々と色んな色々があったから」
「めっちゃややこしいっす」
わざとだ。
「あれだね、依頼料だけ返して僕はパーティから追放されたよ」
「いつも思いますが、追放の使い方間違えてません?」
「ほら、『共同体や組織などにおいて、その内部秩序や統制を維持・強化するために、特定の者を放逐したり、資格の剥奪(はくだつ)、活動の制限を行ったりすること。』(引用コトバンク)って書いてるから。僕と言うお助けチートキャラを追放して、自分たちで更なる高みを目指すことを挿してるんだ」
「お助けチートキャラて。事実なのがまたうざいですね」
「後輩ちゃんはお助けチートキャラのもとで暮らしてるのだ!」
「私は先輩が大好きなのでこの家にいるんですよね」
「唐突な告白!」
「これもいつもの日常風景!!」
「「イェーーい」」
ハイタッチした。
「話がそれすぎましたが、先輩は逆キャンセル料を支払ったんすね」
「そう言うことだな。あと今度の探索で結構日にちを食うから仕事の予約も結構ずれるな」
「いつものことっすね。そういえば久しぶりに探索しますね、非探索済みダンジョン」
「だいたい一年ぶりぐらいか?」
詳しくは覚えてないな。
「いや、一年と4ヶ月と12日ぶりです」
「怖っ、背筋がゾクッとしたわ」
「私ヤンデレキャラで食っていくことにしたんです」
「やみの部分は?」
「闇の方ですね」
「病みでは」
「ないですね、先輩が操れる方です。よかったですね、巨乳美少女をあんなことやこんなことできますよ!!エロ同人みたいに!」
「そんなことしたらR18エロまっしぐらだ」
「官能小説ですか」
そんなことにはならないはず。
「明日にその少女の迎えが来て、明後日からダンジョンに行くから」
「私も明後日からですよね?」
「そうだな」
「じゃあ今日夜更かししても仕事に影響出ませんね」
「結局ご飯を上げる考えか、危ないかもしれないから僕の目の届く範囲でやれよ」
「そうですね、そうします」
と言うことで、昼過ぎに帰ってきた僕のシーンをひとまず区切る。僕は眠い。
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