第16話 過程?

「さて、どうしようか」

 倒れた少女を抱えて僕に相談をしてくる。

「どうしようって、僕が決めれる立ち位置じゃないだろ。アドバイスぐらいならしてやるが」

「アドバイスが欲しいんだよ、こっちは。ったく、こんな状況なんて初めてだわ」

 段々と口が悪くなっていく支部長。イライラゲージが溜まっているようだ。タバコを吸って落ち着いてもらわないと。僕にヘイトが向いてくるのは勘弁だぞ。

 まぁ、異世界人と出会うなんてお偉いさんじゃなきゃ(国を傾ける権力を持っているぐらいの)会えないってのに、なんかダンジョン内にいて、拾って、何かしようとしていたので、。なんて報告をしたらどれだけの苦労が待っているだろう。

 僕なら胃に穴が開くな。

「とりあえず上に報告をしてくるから、そいつ見張ってろ」

「わかった。ちゃんと眠らせたよな?」

「きちんと能力にかかったよ。今頃夢でも見てるんじゃねえか?」

 支部長の能力は手をかざした生物を眠らせる能力らしい。ダンジョン内では全く使えない能力だが、対人相手にはめっぽう強い。軽く1日は眠るとは思う。

 会議室を出ていく支部長、本部の方に連絡を入れるようだ。上の方からこの少女についてどんな処遇があるのだろう。

「……分かりました。はい、了解です。黒宮、上に報告したらすごく慌てていたぞ、想定外の出来事らしいな」

「そうか、なんて言われた?」

「お前が発見したことも報告したら、黒宮に預けとけって」

「……は?」

「お前って上から信頼されてるんだな。あいつに預けといたら大丈夫みたいな反応していたぞ。まぁ実績を含めるとそれぐらいの信用はありそうだけど」



「ということで、この少女を預かることになった」

「過程は?その先の過程はないんですかっっっ?」

 重要な部分を話せたからいいだろう。

 という過去回想を終えて、冷蔵庫から飲み物を取り出す。この少女はソファに寝かせとけばいいだろう。

「……この少女を預かって大丈夫なんですか?過去回想であった通り、この少女異世界の人ですよね。あと、何かしようとしていたんですよね。大丈夫なんですか?」

「さぁ?大丈夫なんじゃないか。今日の朝にまた眠らせたから、今日も起きないだろう」

「それ、餓死しません?」

「……そうだな」

「考えてませんでしたね。加賀原さんもいながら何やっているんですか」

「いや、まぁ、大変でしたし、異世界人とか初めてでしたし」

「何やってるんですか、異世界人と言ったってただの少女ですよ、普通に対応したっていいでしょう」

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