第3話

 お芝居は、とあるアニメの舞台化。アニメ好きではないけれど、定期的に観るようにしている…。ジャンル問わず。

 正直、今日は断ろうかと思ったけど、舞台が観たいという欲が勝った…。高校の時からそれは変わらない。

萩乃はぎのに似てる…」

 思わず、声に出てしまった…。

「うん。だって、今日はコスプレしてるから」

「そうなの…?」

 全然、気付かなかった…。

「ガチコスは痛いオバサンになっちゃうから。少しだけ、だよ」

 無邪気に笑う萩乃に、

「そっか…」

 つられて笑った…。

「よかった…」

「ん…?」

「ようやく笑ってくれたから」

 よかった。と再度呟いて、

「今日はいっぱい楽しもう」

 ね?と、私の顔を覗き込む。

 不覚にもこの時、ドキドキした。この感情は、きっと…。持ってはいけないモノだと…。

「うん…」

 頷いて、舞台に集中した。

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