第2話

萩乃はぎの、おはようっ」

「おはようっ」

 相変わらず、萩乃は可愛い。萩乃は高校の頃の部活動仲間で、卒業してからも仲良く十年くらい一緒にいるのかな…。長い髪を左に束ねて、見た目も可愛いけど洋服も可愛らしく歳相応のオシャレさん。

 一方、私は…。私は…シンプルに着こなしているつもり。黒が、多いかな…。今日は、気付けば黒ばかりになってしまった…。

春木はるき、今日は珍しいね…」

 目を指差して、私が眼鏡をかけていることを言う。

「うん…」

 目が腫れているから、今更隠してもムダか…。そう思いながら俯き、微笑んだ。

「眼鏡、似合ってるよ」

 萩乃の優しさに、目頭がジワジワしてしまう…。いかん。いかん…。

「ありがとう…」

 少し先を歩く萩乃は、決して振り返らない。

「それでね…」

 他愛無い話をしながら、いつの間にか手を繋いでいて、

「うん…そっか…」

 目的地まで、萩乃は酷くグチャグチャした私の顔を見ないでいてくれた…。

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