第56話 残りを蹴散らし合流した
『ワタル!?マジか!!無事か!?ってか倒した!?』
ぼやける意識の中、
多少マシになった所で、ダメージの酷い個所を優先して治療してくれる
『生きてます。エリュマントスは倒せたっぽいです。周りはまだ魔物が居て、
エリュマントスから受けたダメージはおおむね2発だが、その2発でおそらく骨と内臓がやられていたな。
『だいぶ散ったみたいだが、まだ周りに魔物が溜まってる。しばらくそのまま結界の中にいろ。こっちは何とかなりそうだ』
『了解です』
周囲を見回すと、魔物のグループ三つくらいが
周りはまだ捕獲部隊が取り囲んでいる。
エリュマントスが消えたからアインスからの救援を期待できるし、グローブさん達もいる。幸いブタ野郎のドロップは結界内に落ちているから、回収される心配はない。
「しかし、馬鹿みたいに強かったな。なんだあれ」
集合知だと2次職のパーティーが良い勝負をして、撤退まで追い込んだという情報がある。
その能力から言って
冒険者ギルドの推奨討伐対象は、10回戦ったら10回ほぼ無傷で勝てる相手を適正として定めているが、どう考えても3次職パーティーが完勝出来る相手じゃない。
「さて……それでドロップ品はっと……?」
エリュマントスの大剣を回収し消えた場所を見ると、大きな白い布包みが横たわっている。
……あ~……これ。
「……ベースは人かよ」
純白の布で簀巻きにされたまま横たわるのは、10代前半から半ばくらいの少女だった。
エリュマントスの核は、10代くらいの少女の奴隷だったらしい。近づいてみると分かるが、かなり整った顔をしている。ぶっちゃけ美少女だ。
動物も、人間も条件さえ揃えられれば魔物の核に成りえるが……。
「まいったな。……どうしたもんか」
呼吸はしているが、どうやら気を失っているようだ。
他には……これは召喚の時に使っていた杖か。それに革袋に金貨が数枚。どちらもドロップ品じゃなさそうだ。
ほかにそれらしいものが無いとすると、この少女だけで10万G、日本円だと一千万円以上くらいの価値になるのか? 100年か200年か前の人物だろうけど……集合知の情報からだと価格が合わないな。レア適性の持ち主かな?
とりあえず、ほかのアイテムは
他にも確認しなきゃいけないことが有るし、ギルド長と領主からの呼び出しは確定だろう。
『ワタル・リターナーが初めて
先ほどのアナウンス、ステータスを確認すると確かにレベルが99でMAX表示が出ている。……上限、50じゃなかったのかよ。
覚えたスキルを確認すると、どうやら50レベル以上はスキルを覚えていないらしい。こちらは集合知の情報通り。50になった時点で、該当職のすべてのスキルを習得したとアナウンスが流れるというのは間違いないらしい。
いつから50レベル以上が作られたか知らないが、今の今まで転職せずに50以上経験値を稼いだ人が居なかったと言うことか。
「
このアナウンスが全世界に流れたなら、今頃他の地域では教会に問い合わせた殺到し始めていることだろう。
「ステータスもおかしな事になってるが……精査は後だな。グローブさんたちは……」
街の方は……こっちの門から偵察隊が出始めたな。流石、動きが早い。これで余剰兵力を遊撃に回せる。防戦だったアインスの状況も変わるだろう。
周りを取り囲んでいる魔物のグループはどうすべきか迷っているらしい。高くても数百Gクラスの魔物だ。難しい状況判断は出来ないのだろう。たまにこちらに向かって狙いの定まらぬ石を投げてくるが、
そんな事やってると、ほら、攻撃魔法が飛んでくるぜ。
エトさんが放ったであろう
中心にいたゴブリン2体ほどが一瞬でアイテムに還った。
「無事っぽいなっ!」
グローブさんの叫びが聞こえる。
二人はもう目の前だ。取り囲んでいるこいつらを片付ければ合流して一息つける。そう思っている間に、
おっと、今のは
「残りは
どれだけ魔力を盛っているんだろう。二人とも一次職の中盤だが、殲滅力はそれ以上だ。かなり無理をしているんだろうな。短期決戦のつもりで頑張って来てくれたか。
それじゃあ、こっちも手助けしないと。
魔物たちはみんなグローブさん達に向かって動き出している。
結界に背を向けるとかマヌケのすることだぞ。
エンチャント切れの長剣に、覚えたばかりの魔術を発動。
さて、行くか。
「
こちらに背を向けていたゴブリンが吹き飛んで消える。
同時に切り付けたオークは、雷剣のスタン効果で振り向くこともできず、次の魔弾で消える。
その間に1体の
「待たせたな!
グローブさんの封魔弾でゴブリンがドロップに変わり、俺の雑に振るった剣がもう一匹の首を跳ね飛ばす。
ああ、ステータスをあげる魔術を使ってないのにこの威力。全力で振るったらおそらく剣の方がもたない。
それから一分ほどで、周囲にいたすべての魔物がアイテムへと姿を変えた。
これで一息つける。
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