41 すごい!S級同士の戦い!フェールvsシュナビス 

 「フェールさんは、シュナビスに勝てただろうか―。」

 僕は、フェールさんの事が心配になった。




 「きっと、大丈夫よ。」

 ミミコさんは、言った。




 ミミコさんが、言うのだから確かなのだろう。




 「フェールさんは、舞台ホールで戦っているわ、行ってみましょう。」

 ミミコさんは、歩きだした。




 「ボルタ林檎。」

 よいしょっと、僕はリリを担いで、ボルタ林檎に乗った。




 舞台ホールに着いた。




 「冥府送り 三叉槍 五月雨突き!。」

 シュナビスは、三叉槍を手に、フェールさんを突く。




 シュ、シュ、シュ、シュ、シュ。




 「槍パイプ。」

 フェールさんは、1m20cmほどの長さのパイプを手に、シュナビスの突きを、受け流す。




 「や、えい。」

 シュナビスは、三叉槍を華麗に振り回し、突き、攻撃する。




 攻防が繰り広げられていた。




 「まだ、戦ってたのか―。」

 僕は、1人と1体の戦い見守っていた。




 「参加した方がいいだろうか。」

 僕は、言った。




 「やめておきなさい。あなたの敵う相手じゃない、髑髏牛ペンギンとの戦いによる怪我と疲労もすごいでしょ?」

 ミミコさんは、諫めた。




 「はい。」

 僕は、考え直し、心の中で、フェールさんを応援する。




 「そろそろ、ウォーミングアップもいいだろ?ほら、本気で来なさい。」

 シュナビスは、手のひらを上にして、人差し指から小指を内側に曲げたり開いたりして、挑発した。




 「十字パイプ 螺旋回転 舞。」

 フェールさんは、十字にした2本のパイプを、螺旋状に、秒速5000mで高速回転させて、次から次に、空中に飛ばす。


 


 ビュンビュンビュンビュン、ビュンビュンビュンビュン―




 「パイプ移動術。」

 フェールさんは、パイプを足元に作り出し、秒速2000mで引き延ばしたり縮めて、移動した。

 



 「遠慮なく、いかせてもらうよ!。」

 フェールさんは、パイプの上に乗り、十字パイプを、シュナビスに向かって、シューティングした。




 「シュナビスの剣。」 

 シュナビスは、心臓から剣を抜きだした。




 両刃で、柄が金色の120㎝程度の剣だ。




 カキン!カキン!カキン!




 「ほう。面白い技だね。」

 シュナビスは、十字パイプの攻撃を、剣で捌く。




 「流石はS級か―、十字パイプ螺旋トルネード。」

 フェールさんは、更に、十字パイプの回転速度を、はやめた。




 「行け。十字パイプ。」

 パイプからは凄まじい風を切る音がきこえる。




 ギュウウウウウィィィィンンンン!!!




 「やりますねえ。腕が折れちゃいそうだ。」

 シュナビスは、剣で、十字パイプを受け流していく。




 カキン!




 「流石に、剣が折れちゃいそうだ。おっと、血がっ。」

 十字パイプの斬撃が空中を介して、シュナビスの身体に傷をつけた。




 「懐かしい血の匂い。僕が傷をつけられるだなんて、何十年ぶりだろうか―。」

 シュナビスは、感慨深そうに、剣を振るう。




 「久しぶりに本気が出せそうだ。」

 シュナビスは、剣を振るい舞った。




 「冥府の力みせてやる。シュナビスの剣 闇の舞。」

 シュナビスの持つ剣が漆黒に染まった。




 黒い煙のようなものが、剣から、出て上がる。




 ブオン!




 バ!バ!バ!




 シュナビスは、十字パイプを軽々と捌いていく。




 「やっと、属性を使ったか。」

 フェールさんは、二っと笑った。




 「ブルーパイプ 青白き雷と水の焔 焼き尽くせ!。」

 フェールさんは、両手の人差し指と中指を立て、右手を縦に左手を横に顔の前にクロスさせた。




 ボォワアン、ボォワアン、ボォワアン、―。



 

十字パイプの色が、青白く変化する。




 水の音と、電磁気のビリビリとした音、焔の音が混じったような、音色が、十字パイプから鳴っている。




 「行け、ブルー十字パイプ。吹き飛ばして焼け。」

 フェールさんは、ブルー十字パイプを、シュナビスに向けて、シュートしていく。




 「冥府の剣に、斬れぬものなどない。」

 シュナビスは、ブルー十字パイプを斬ろうと、剣を振るう。




 ガチャア!




 「なんだと!、わしの、冥府の剣が、力負けした。」

 シュナビスの剣は、ブルー十字パイプの攻撃に、弾かれる。




 「マズい、二刀流、シュナビスの剣。」

 シュナビスは、左手を剣から離し、新たな剣が左手に、あらわれ、二刀流となった。




 「数が多すぎる、二刀流でも捌ききれん。」

 シュナビスは、苦しそうな様子で、ブルー十字パイプをの追撃を、跳ね返していく。




 「うわあああ。」

 遂にブルー十字パイプが、シュナビスの、剣を折った。




 「マズい。己の中で最高の技をみせてやる。もう手はない。」

 シュナビスは、言った。




 「光栄だね。僕のブルー十字パイプで沈めてやる。」

 フェールさんは、返した。




 「本望! 闇エネルギー弾 焼滅 冥府行。」

 シュナビスは両手を、開いて前に出した。




 両手から次々に黒いエネルギーの弾が、放出される。




 「お前は、受けきれるかな、己が、321年の命をかけて編み出した、奥義を。」

 黒いエネルギー弾は、一つに集まり、凝縮されていく。




 「凄まじいエネルギーだな―、S級なだけはある。」

 フェールさんは、感心した様子で、シュナビスのエネルギー弾をみた。




 「僕も、久しぶりにワクワクするよ。」

 フェールさんは、二ヤリと笑った。




 「ブルー十字パイプ 体心立法格子。」

 フェールさんは、ブルー十字パイプを、体心立方格子の位置に配置し、十字パイプの結晶を作り出した。




 凄まじく眩く青白い光を発している。




 「行くぞ、シュナビス。」

 フェールさんは、言った。




 バゴーン!




 ブルー十字パイプの結晶と、闇エネルギー弾の凝縮された塊が、衝突する。




 物凄い、爆風だ。




 歌劇場はもはや、骨組みだけとなり、アウフヘーベンの街は、揺れていた。




 途轍もない光と闇のぶつかり合いだ。




 辺り一面が輝き、闇を飲み込んだ。




 シュナビスは、丸焦げとなり、立っているのがやっとな状態だった。





 身体は灰となり、ボロボロの状態だ。




 「我が命に悔いはない。」

 シュナビスは、立った儘死んでいた。




 しばらくすると、シュナビスの灰は、風によって、ボロボロに崩れ落ちて、消えていった。




 フェールさんが、勝ったのだ。




 「中々、骨のある、滅死壊だったな。あと何年かすれば、SS級になっていたかも知れぬやつだった―。」

 フェールさんは、シュナビスの死に涙していた。


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