38 髑髏牛、ブラッドペンギンVSロネ、リリ、ミミコ

 「神通力式結界術 転移!」

 ミミコさんは、両手の人差し指を立てて、胸のあたりで、Ⅹ字にクロスさせた。




 ビューン




 歌劇場の椅子に縛り付けられていた一般人たちにノイズが入り、光の結晶の集まりとなり、上に飛んでいくようにして消えた。




 「おい!どうしたのいうのだ、急に我が拷問用の玩具どもが、消えたぞい!。」

 シュナビスは、慌てふためいた。




 「さては、お前か!、我が奴隷の分際で生意気な小僧だ。おらああああ。」

 シュナビスは、気が狂ったように鞭で、ロールを、叩き放題して、左目に指を突っ込んだ。




 ペチン




 ペチン、ペチン、ペチン―




 グサり




 「うわあああああああ。」

 流石のロールも叫び散らかした。




 「どうだ?げへへ、いい声で鳴くなあ?」

 シュナビスはロールの叫び声に大変興奮した様子で、指についた血をなめまわした。




 「左目が失明しちゃったなあ?どうする、右目がなくなったら何も、みえなくなっちゃうぞぉ?」

 シュナビスは、愉快に声を上げ、ロールを見下した。




 「やめろおおおおおおおおおおお!!!!。」

 僕は叫んだ。




 「お!ネズミが紛れ込んでいたみたいだねえ、君のお仲間かい?」

 シュナビズは目を細め、ロールを見たあと、僕たちの方を、みた。




 「雑魚の癖に、俺を助けに来たのか?余計な事を―。」

 ロールは、俯いて、笑った。




 「何が、おかしい!、笑うな!。」

 シュナビスは、ロールの左肩を握りつぶした。




 ゴリ、ボキ。




 「うわあああああああ。」

 ロールは、シュナビスを静かに睨みつける。




 「ケッ、気の強い男だ。」

 シュナビスは、舌打ちをして、ロールを見下ろした。



 

 「やあ、やあ、元気だねえ、殺されに来たのかい?君たち。」

 シュナビスは、満面の笑みで、僕たちを、歓迎した。




 不気味だ。




 ビュン




 「なっ。」

 僕は、仰け反った。




 シュナビスが、高速で、僕の目の前にやってきたのだ。




 歌劇場の舞台の1階から、2階の入り口まで、移動してきたということだ。




 「おチビちゃん。美味しそうな男だねえ、ロールの次は君だよ。」

 シュナビスは、ニヤニヤ、笑みを浮かべ、僕の首を右手で掴んだ。




 「ん、やめろ、離せ。」

 僕は、抵抗した。




 バン! 




 「林檎ピストル」

 僕は、シュナビスの脳天に向けて、人差し指の銃口を向け、撃った。




 「ん?痒いな、いま、なんかしたか?」

 へらへら笑いながら、シュナビスは、僕を見下ろした。




 バン! バン!




 バン! バン! バン!




 「ふう、もうやめにしないか?がっかりしたぞ、もっと俺を楽しませてくれよ。」

 シュナビスは、大きく口を開ける。




 口の前で、黒いエネルギーの弾が生成され大きくなっていく。




 「暗黒焼却砲。」

 シュナビスは、口から、黒いビームを放った。




 ドバーン!!!




 「ロネくん!大丈夫かい!」

 フェールさんだ。




 シュルルルル 




 壁だ。




 パイプを連ねてできた、壁の盾が、シュナビスの暗黒焼却砲を防いでいた。




 「パイプシールド。」

 フェールさんは、銀色に輝く、パイプシールドで、僕を守る。




 「なかなか、やるじゃないか。君。」

 シュナビスは、感心した様子で、フェールさんをみた。




 ドバシューン




 後ろから、髑髏牛が、時速400㎞ほどのスピードで襲ってきた。



 

 「ブヒィィィン!」

 髑髏牛は、勇ましく叫んだ。




 突進してくる。




 「林檎シールド。」

 僕は、咄嗟に、林檎シールドを出した。




 バシン!




 髑髏牛の角が、林檎シールドを貫く。




 マズい―、躱しきれない。




 「えい!。ハートフルキック。」

 リリが、髑髏牛に向かって、飛び蹴りをする。




 カチン!




 「お嬢ちゃん、いい蹴りだペンねえ。」

 ブラッドペンギンが、髑髏牛の上からリリの飛び蹴りを小さな足で、弾き返した。




 「なっ、流石は、A級の滅死壊―。」

 リリは、弾き飛ばされて、壁に、ぶつかる。




 ドカン!




 髑髏牛は、僕に、零距離まで、近づいている。




 死ぬ―、




 ビューン




 「結界術、転移。」

 ミミコさんは、印を結んで、唱えた。




 ミミコさんの結界術で、助かったようだ。

 



 「ロネくん、大丈夫?」

 ミミコさんは、僕をみた。




 髑髏牛とブラッドペンギンから、50mほど離れたところに、転移させられていた。




 「はい。」

 僕は、答えた。




 「シュナビスは、僕がやる、3人で、髑髏牛と、ブラッドペンギンを、相手してくれ!。」

 フェールさんは、指示した。




 大丈夫か?




 A級が、2体、できるのか、僕に―




 やらないとダメなんだ。




 絶対勝つ。




 



 


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