37 舞台ホールで、拷問を受けるロール S級・ブラッドペンギンとA級・髑髏牛!

「滅死壊の反応が、舞台ホールからするわ。」

 リリは、走りながら言った。




 「行こう。」

 フェールさんは、返す。




 ガチャ




 アンティークで豪華な黒いお洒落な引き戸を開ける。




 舞台ホールは、歌劇場の真ん中に、1~6階の吹き抜けになって建っている。




 「入るぞ。」

 フェールさんは、中に入った。






 僕とリリも、後に続く。




 「うっ、あんまりだ―。」

 僕は、舞台ホールの、酷い状況に眩暈がした。




 人々が、座席椅子に、縛り付けられていた。




 息をしていないものもいる。




 喰われてしまったものの残骸が床に散在している。




 荘厳で、美しい、シャンデリアに照らされて、残骸が照らされている。




 2000を超える折り畳みの座席椅子が、舞台を囲うように、1~6階に並び、異様な光景である。




 舞台では、ロールが、メカクシをされて、椅子に縛られ、鞭打たれていた、片腕が床に落ちている。




 ペチン!




 「いい加減、諦めたらどうだ?死んじまうぞ。」

 シュナウザーの顔に、人の身体の、滅死壊が、二ヤリと笑って、剣で切りつけた。




 円筒形の青、赤、黒のビーズが段々に連ねられ、両端を大きな螺旋の紋章の刻まれたビーズで固定された襟飾りをしている。




 上半身は裸で、痩せ型の筋肉質な姿で皮膚は薄い紫色だ。




 下半身は、膝辺りまでの、白いリネンの布を巻いて、腰に黄色い帯を着けている。




 腰帯から、正面に、黒と黄色のシマシマ模様の布が、垂れ下げられている。




 シュパ。




 斬られたロールの、身体から、血が噴き出す。




 ロールは、冷たい瞳で、シュナウザーの滅死壊を、睨みつけた。




 「コワいねえ。ぞくぞくしちゃうよ。」

 シュナウザーの滅死壊は、ニチャニチャ笑って、興奮していた。




 「シュナビスさまあ、オイラ、もう我慢できないでやんす。人間どもを食べたいでやんす。」

 舞台の奥から、骨の牛に乗った赤いペンギンが、口に、血まみれの人の腕を咥えながら、話す。




 「半殺しにして、痛めつけてから殺すのが、いいんじゃないか、死ぬ瞬間まで苦しむ顏がみたいだろ?、こいつ、みたいにな!」

 シュナウザーの滅死壊は、ロールの顔を、右足で蹴った。




 ビシッ!





 ピロロロン




 「シュナビス Sランク シュナウザーの顔に人の身体を持つ、残酷で半殺しにして、人の苦しむ姿をみるのが、趣味。」




 ピロロロン




 「髑髏牛 Aランク 骨の牛、巨大で、頑丈な骨を持つ。」

 



 「ブラッドペンペン Aランク 血を好む残酷なペンギン、嘴で、血肉をつつき、狂人な牙で食らう。」

 





 「いいですな。右腕もちょん切れて、身体中、切り傷だらけ、いつまで生きるのか、見物ですわい。ゲシシ。」

 ブラッドペンギンは、シュナビスが、ロールの顔を蹴る様子をみて、興奮した。




 「ヤバくないか、あれ。」 

 僕は、恐怖で身体を震わせた。




 「酷いわね、みてられないわ―。」

 リリは、口元を手で抑えた。




 「助けに行くぞ。」

 フェールさんは、言った。




 バッ




 「ちょっと、待って!!!。」

 ミミコさんがいた。




 両手を広げて、行く手を阻んでいる。




 「ロールは、一般人を守るために、身を犠牲にしてるのよ。」

 ミミコさんは、口を開いた。




 「どういうことだ?」

 フェールさんは、たずねた。




 「ロールとあたしは、シュナビスと決闘したのだけれど、負けたのよ。」

 ミミコさんは、話し始めた。




 「シュナビスは、拷問に耐え抜いたら一般人には手は出さないって言ったのよ。嘘だとわかっていながら、ロールは、拷問を受ける事を受け入れたわ、縛られ、鞭打たれ、斬られ、蹴られ、殴られてる。」

 ミミコさんは、泣き出しそうな声で、叫んだ。




 「どうして、そんなことを?」

 僕は、言った。




 「一般人の被害が減るからよ。」

 ミミコさんは、返した。




 「あたしは、どうにか、神通力で姿を消して、逃げれたんだけれど―。」

 ミミコさんは、得意げな様子で、言った。




 ロールさん、どれだけ、お人好しなんだ。




 「どうして、助けを呼ばなかったんだ?」

 フェールさんは、きいた。




 「シュナビスの結界か何かで、歌劇場から、出られないし、連絡も取れなかったのよ。」

 ミミコさんは、答えた。




 「はやく、ロールを助けないと―。」

 リリは、言った。




 「待って!」

 ミミコさんは、止めた。




 「どうして?」

 リリは、首を傾げた。




 「まだ、一般人を避難させられてないからよ。」

 ミミコさんは答えた。




 「どうすればいいんだ。」

 僕は、頭を悩ませた。




「歌劇場から転送する結界は張り終えたのだけれど、発動すれば、シュナビスたちに気づかれるわ。戦う準備はできてる?」

 ミミコさんは、言った。




 流石、ミミコさんだ。




 「できてるよ。」

 フェールさんは、答えた。




 「僕も、覚悟は決めてきた。」

 僕は、言った。




 「やる気満々よ。」

 リリは、拳を握った。



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