31 フェールさん登場。ロールさんには、相変わらず、邪魔者扱いされるロネ。

 *ロネ、滅死壊討伐参加するんでしょ?ミミコさんからきいたわよ。明日、集会場まで、一緒に行きましょう。ポム県アイス駅に、朝10時ごろ集合ね。




 5月4日 日曜日 




 朝、起きて、スマホを確認すると、メールが来ていた。




 リリからだ。




 *わかった、10時には間に合うように準備して、行くよ。

 



 メールに返信をした。




 家を出て、駅に着いた。




 「ロネ!」

 リリは、僕を見つけると、手を上げた。




 午前10時15分




 「おはよう、リリ。」

 僕は、照れくさそうに頭を掻いて、言った。




 「ははは。エイレーネ団も人使いが荒いわよねえ。」

 リリは、困った様子で、ため息をついた。




 「手の空いている人がいないんじゃ仕方ないよ―」

 僕は、言った。




 「だね。」

 リリは、相槌を打った。




 ピンポパロ、ポンポ、ピンポパロ―




 音楽が流れ、リニアモーターカーの電車がやってきた。




 電車に乗り込む。




 アルブルに着き、ガーレリア街のオレンジ色の建物から白い空間へ行く。




 白い空間には、シルクさんが、いた。




 「やあ、来てくれたのかい、助かったよ。」

 シルクさんは、僕たちをみると、肩を撫でおろした様子で、言った。




 白い空間にある、集会場へ向かって、歩く。




 「ミーロ星のあちこちで、滅死壊の動きがあってね。団員も調査やら、討伐やらで、手が空いてないんだ。」 

 シルクさんは、困り眉で、深刻な表情をみせた。




 「大変ですね。」

 リリは、言った。




 「ワシも参加したいんだが、白い空間の維持や警備があるからの。ごめんな。」

 シルクさんは、申し訳なさそうにした。




 集会場の中に入る。




 肩ほどの長さの青髪ストレート、目が青く、ギリシャ鼻で、上唇の山の部分がしっかりとした、富士山唇の感受性の高そうな男がいた。




 入口の右手そばにある、ベンチの横で、突っ立っている。




 淡い青色で、手首の辺りをキュっと絞められた、キャンディ袖のブラウスに、灰色のパラッツォパンツを履いている。




 誰だろか―。




 「あの人誰?」

 僕は、リリに小声で、きいた。




 「フェールさんよ。」

 リリは答えた。




 メールで、参加者の中に入っていた人だ。




 確か、ブルー パイプ フェール




 「フェールくんは、中学生で、唯一のS級団員でね、彼の手が空いていて助かったよ、ははは。」

 シルクさんは、僕たちの方をみて言った。




 「どうも、フェ―ルさん、こんにちは。」

 ユイさんは、手を上げた。




 「???二人が、メールに書いてあった―。」

 フェールさんは、続けた。




 「リリ君と、ロネ君だ。」

 シルクさんは、僕たちに手を向けて紹介した。




 「まだ、小学生なのに、災難だね。ははは。どうぞ、よろしく。」 

 フェールさんは、僕と、リリを交互にみて、明るい声で言った。




 「どうも、ロネです。よろしくお願いします。」

 僕は、軽く挨拶した。




 「リリです。よろしくお願いします。」

 リリは、僕の後に続けて、言った。




 集会場の中を進む。




 階段に囲まれた広場に行く。




 ロールさんと、ミミコさんが、待っていた。




 「誰かと思えば、未だ、生きてたのか?」

 ロールさんは、僕をみると、威圧的な声で、言った。




 「どうも。」

 僕は返した。




 「足手まといが、増えたな。家で、静かにしてればよかったものを。」

 ロールさんは、迷惑だと言った様子だ。




 「ちょっと、ロール、口が悪いわよ。」

 ミミコさんは、窘めた。



 

 「うるせえな。お前は俺の、お袋か何かのつもりか?」

 ロールさんは、髪の毛を掻きむしった。




 「もうっ。ロールったら。」

 ミミコさんは、困った様子で、ロールさんをみた。




 「ごめんなさいね。」

 ミミコさんは僕に向かって言った。




 「いいんですよ、弱い僕が悪いんです。」

 僕は、唇を噛んだ。




 「ほら、見習いなさいよ、ロネくんは謙虚ね。」

 ミミコさんは、言った。




 「仲良くしてくれや。」

 シルクさんは、僕とロールさんの険悪な様子をみて、割って入った。




 「シルクさんが、言うんだったら、まあ、仕方ないか。」

 ロールさんは、大人しくなった。



 

 「本題に入るが、5人で、アルブル空港から、エリーゼ空港まで、飛行機で、行ってくれ、フェールくんが、リーダだ。」

 シルクさんは、僕たち5人をみて言った。


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