超能力者のJK・ロール・Jaと、神通力者のミミコ登場

24 羊の悪魔バフォメットを連想させる滅死壊に襲われている所を、助けられたが、毒入りココアを飲まされて、倒れた。

「メエエエェィィイイ!!!ボワォアアアアア!!!。」

 鼓膜が潰れそうな程の叫び声が、響き渡る。





 あたりの民家や、店の窓ガラスが、割れた。




 羊の滅死壊に襲われている。




 羊の悪魔バフォメットを連想させる容姿をしている。




 顏と首、胸が羊で、手と胴体が人間、足が、羊だ。




 黒い羊の部分に肌色の手が付いている。




 身長は、130cmほどの小柄で、両足で、二足立ちしている。




 ピロロロン。



 

 スマホから音が鳴る。




 「プロバトテラス ランクC 素早さが高く、強力な物理攻撃と、魔法を使う。」

 スマホが、目の前のモンスターの名前と特徴を、アナウンスした。




 2031年4月22日、火曜日。




 午後4時ごろ、学校から下校中の事だ。




 僕が敵う相手じゃ、ない、逃げようと、こっそり、移動する。




 「バワアアアア、メエエェェェイイイイ。」

 プロバトテラスは、僕の動きを見逃さなかった。




 僕と目が合う。




 マズい。




 シュッ。




 「やあ、やあ、美味しそうな、少年。」

 プロバトテラスは、目にも止まらぬ速さで、僕の目の前に立った。




 50mほど離れていたのに―、化け物だ。




 「どうも。」

 僕は、目を反らして、立ち去ろうとした。




 グイッ。




 「はいよ。」

 プロバトテラスは、僕の首を右手で、掴んだ。




 グイ、グイ、グリ。




 プロバトテラスは、右手で、僕の首を力強く締め付ける。




 「んんん、んっ。おえ、ごぼォお。」

 苦しい、目から涙が零れる。




 「ほら、抵抗しろよ、死んじゃうぞお?」

 プロバトテラスは、楽しそうに、目を細め、ニヤニヤしつつ、僕の苦しむ顏をみて喜んでいた。




 クソ野郎だ。




 憎い、僕をこんなに苦しめ、やがって、息ができない。




 意識が途切れそうだ。




 酸素!!!、酸素が足りない。




 「出ろ、林檎。」

 力を振り絞って、林檎魔法で、林檎を出した。




 「なんだ?このへなちょこな林檎は?」

 プロバトテラスは、鼻で笑った。




 ビュン!!!




 「行け。」

 プロバトテラス目掛けて、林檎を最速で飛ばした。




 ピョイッ!!!




 「おっと、危ない奇妙な技を出しやがるガキだ。」

 プロバトテラスは、林檎を、ひらりと、事も無げに躱した。




 万事休す。




 「じゃ、そろそろ、君をいただこうかなあ。」

 プロバトテラスは長い舌で、唇を舐めた。




 ヒュルルン。




 妙な音がきこえました。




 「な、なんだ、この音は!?」

 プロバトテラスは、反応しました。




 「燃えろ、焼き尽くせ、パイロキネシス。」

 男の声がきこえる。




 男は宙に浮いている。




 黒色の生地で、胸にESPとテキストが書いてあるオーバーサイズのビッグシルエットTシャツに、赤色のチノスカートを履いて、黒色のサファリハットを被っている。




 逆三角のシュッとした顔で、アンニュイな紫色の瞳をした、アーモンド目、筋の通ったギリシャ鼻、一文字型のキュッとした口角の唇をしている。




 ボわああああああああああああ!!!




 プロバトテラスが、ぼうぼうと、燃えている。




 「うぎゃあああああああ!!!やめてけろおおおおおお、あちいちいあちい、えええええ。」

 プロバトテラスは、叫び散らした。




 苦しそうだ。




 やがて、僕の首から、右手を離した。




 「助かったあ。」

 僕は、九死に一生を得た。




 「よかったねえ。助かって。」

 男は言った。




 宙を浮いている。




 魔術か、超能力か、神通力の一種であろうか。




 彼の横には、女の子もいた。




 草、花の刺繍の施された、狩衣を着ている。




 肩ほどの茶髪のクセ毛だ。




 卵顔で、茶色い瞳の、丸アーモンド目をしている、ギリシャ鼻で、厚い唇をしている。




 どこか、のほほんとした表情だ。




 宙に立ったまま、男の後ろで、浮いていた。




 「ありがとうございます。」

 僕は、お礼をした。




 「取り寄せ、アポート。マグカップ。」

 男は、右手の人指し指を上に上げた。




 人指しの上に、マグカップが現れる。




 「アポート、ココア。」

 人指し指をマグカップに向かって下げた。




 ジュルルルルル




 どこからともなく、コーヒーと思われる茶色の液体が、宙からマグカップに注がれた。


 


 「大丈夫だったかい、ほら、ココアだ。」

 男は、僕に向かってココアの入ったマグカップを、移動させた。




 宙を移動して、僕の手元にやってくる。




 サイコキネシスだろうか。




 「え。」

 僕は、湯気の出ている熱々のココアを眺めた。




 「毒は入ってないよ、飲みな。」

 男は、言った。




 ゴク、ゴク、ゴク。




 僕は、マグカップを手に取り、ココアを飲んだ。




 何だか、頭がクラクラする、気分が悪い。




 身体が重い。




 バタン。




 僕は地面に倒れ込んだ。




 「弱いやつは、エイレーネ団に要らないんだよ。足手まといが。」

 男は、吐き捨てるようにして言った。




 「ちょっと、まさか、あんた、毒を盛ったんじゃないでしょうねえ?」

 女は、男を責め立てるようにして、言った。




 「悪いか?、足手まといは速めに消しとくべきだろ?」

 男は、冷酷な声で、返した。




 「呆れた―、あんたって本当に自分勝手ね。」

 女は、額に手を当て、項垂れた。




 「ま、いいわ。おい、生きてる?、ボーイ?」

 女は、倒れ込む僕の顏を覗き込んだ。




 「あんた、だいぶ強い毒盛ったでしょ?殺す気なの?速く、医者に診せないとマズいわね。」

 女は、困り眉で、言った。




 「そりゃ、致死率99%の猛毒だからね。生きられるか見物だね。はは。」

 男は愉快そうに笑った。

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